米連邦取引委員会(FTC)は米国時間6月23日に,ピア・ツー・ピア(PtoP)技術に関する調査結果を発表した。コンピュータ・ユーザーが他のユーザーとコミュニケーションをとり,処理能力を共有し,データ・ファイルをやりとりする手段を提供するPtoP技術は,個人,企業,政府機関,学術機関に大きな恩恵をもたらすが,これまでのところ,同技術のアプリケーションで最も利用されているのは,音楽や映像ファイルをダウンロードする商用ファイル交換ソフトウエアである。

 FTCによるとPtoPファイル交換プログラムを利用したことのあるインターネット・ユーザーは1000万人にのぼる。「同プログラムを使うユーザーは,データの不正アクセス,スパイウエアやアドウエアおよびウイルスの侵入,著作権侵害といったリスクにさらされている」とFTCは警告する。

 また,米メディア(internetnews.com)が報じた米NPD Groupの調査によると,有償のデジタル音楽配信サービスが拡大し続けているものの,米国におけるダウンロードの大半をPtoPサービス経由の無料ダウンロードが占めている。2005年3月にPtoPサービスを用いてダウンロードされた楽曲は2億4300万曲だが,デジタル音楽配信サービスで販売した楽曲は2600万曲ていどだ。2004年に家族の中で少なくとも1人が音楽ファイルをダウンロードしたことのある米国家庭は推定1100万世帯にのぼる。

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