米NPD Groupは米国時間6月7日,消費者による音楽ダウンロード・サイトの利用状況について調査した結果を発表した。それによると,米Apple Computerの有料音楽配信サイト「iTunes Music Store」の利用世帯数が,無料で音楽ファイルを交換できるPtoP(ピア・ツー・ピア)サイトに肉薄する勢いだという。
2005年3月に,利用世帯数が最も多かったのは「WinMX」で210世帯。iTunes Music Storeの利用世帯数は170万世帯で,「LimeWire」とともに2位につけた。
■ 利用世帯数による音楽ダウンロード・サイトのトップ10(2005年3月) 1. WinMX(210万世帯) 2. iTunes Music Store(170万世帯) 3. LimeWire(170万世帯) 4. Kazaa 5. BearShare 6. Ares Galaxy 7. Napster 8. Morpheus 9. Real Player Store 10. iMesh 出典:NPD Group社
NPD社Music and Movies部門担当社長のRuss Crupnick氏は,「音楽業界は常々,有料のダウンロード・サイトが無料のPtoPサイトと互角に競争できるのはいつになるかと注目していた。しかし,iTunes Music Storeはいまや,多くのPtoPサービスを上回る人気ぶりだ。また,NapsterとReal Player Storeの利用世帯数もクリティカル・マスを獲得しており,有料音楽配信サイトはその競争力と採算性を証明できた」と述べる。
2005年3月に,有料音楽配信サイトを利用した世帯数はインターネット利用世帯の4%で,その多くは30歳以上のユーザーだった。NPD社は,レコード業界による著作権侵害行為防止キャンペーンが奏功し,年齢の高いユーザー層によるPtoPサービスの利用が減少していると分析する。
「PtoPによる違法な音楽ファイル交換をめぐる法的な問題が取り沙汰されるにつれ,大卒の可処分所得がより多いユーザー層が,有料の音楽配信サイトを積極的に利用するにようになった」(Crupnick氏)
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