ファイル交換サービス「Kazaa」の運営元であるオーストラリアのSharman Networksが設立したピア・ツー・ピア(PtoP)業界団体Distributed Computing Industry Association(DCIA)は,米国の映画業界団体Motion Picture Association of America(MPAA)に対し,PtoPボイコットの終結と,映画の合法的な共有を目指した協力を呼びかけた。米国のシンクタンクCato Instituteがワシントンで開催したイベントで,DCIAが米国時間6月17日に声明を発表したもの。

 DCIAのCEOを務めるMarty Lafferty氏は,「(MPAA会長兼CEOの)Jack Valenti氏よ,大手映画会社のPtoPボイコットを終わらせ,著作権侵害に対抗するために我々と手を組むようMPAAメンバーに促しなさい。そして,ファイル交換の可能性を最大限に引き出す商用サービスを開発しよう」と呼びかけた。

 DCIAには現在,18社が参加している。「当団体の使命は,(今は訴訟問題で注目を集めている)PtoPを米Paramount Picturesや米Universal Musicsにとって魅力的なものにすること。それは,大手映画および音楽会社が卸売りサプライヤとなり,Kazaaなどのサービスがオンラインで映画や音楽を再販する仕組みだ」(Lafferty氏)

 同氏は,「我々は,『著作権所有者に代価を支払うことなく映画や音楽を交換することは,誰にもそれほど損害を与えていない』という意見には反対だ。著作権所有者がPtoPにコンテンツをライセンス供与し,ファイル交換プロバイダがそのコンテンツを保護する役割を担うことを考慮しなければならない」と述べた上で,「分散コンピューティングと,それが大衆向けデジタル・メディア配信に与える影響を認めることなく,娯楽業界は消費者が求めるものを提供することはできいない」と指摘した。

 DCIAは,以下の6段階の手順からなるアプローチを提案している。

・エンターテインメント・コンテンツ目録(ファイルのfingerprint(指紋)情報やメタタグを利用し,データベースを作成および監視)

・著作権所有者のレジストリ(コンテンツのあらゆる部品に関する権利情報を含む)

・コンテンツ認証(音響技術を用いた著作権所有者データとの照合で判別)

・ルールの適用(コンテンツ利用の許容範囲,報酬,ユーザーへの特典)

・デジタル著作権管理(複製物に対する暗号化技術やライセンシング機能の追加)

・決済サービス(コンテンツ使用料の徴収を簡素化)

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