対面営業では、
・興味だけの「野次馬的な顧客」
・情報収集している段階で「ちょっと見たい顧客」
・具体的に他社商品と、比較検討している「本気で比較中の顧客」
・最終的に決めかねている「悩んでいる顧客」
など、それぞれ対応の仕方は異なる。営業や販売員は、顧客の話し方、顔色などの様子から、どんな顧客なのかを瞬時に判断し、その場で臨機応変に対応する。また、購入してもらうために、商品の良い点だけでなく、顧客への良いエクスペリエンスを想像させるようなトークでアプローチするはずだ(6-1:「顧客との関係構築エンゲージメントへの取り組み」を参照)。

 もし、店から客が出て行ってしまったとしても、対面での営業応対次第で、顧客は日を改めて来店することもある。その時は、
「やっぱり、ここの商品が一番良かったわ」
「相談してみて、一番親切だったから」
「君の言うとおりだった」
「この間は、ありがとう」
という感謝(感動)の言葉が、必ずあるはずだ。リードジェネレーションサイトも、バーチャル店舗と考えれば、どのような「もてなし方」が必要なのか、想像しやすいだろう。1章でも述べたとおり、企業サイトには「集客力」と「接客力」が求められる。この「接客力」とは、顧客がWebサイトに来訪する状況に応じた「もてなし方」のことを意味する。

Web上でも“人”が介在させると、記憶に残りやすい

 展示会やセミナー、店舗などで、ある企業の人と初めて接触する場合、人の記憶には「○○企業の○○さん」「○○支店の○○さん」といった具合に、名前もセットで記憶される。店舗誘導の目的を担っているリードジェネレーションサイトの場合、店舗検索や店舗住所など「店名」が表に出るが、「店名+店長名」など人名を入れたコンテンツの方が、印象・記憶に残りやすい。可能であれば写真または似顔絵イラストなど、顧客から見た場合に、どんな人が対応してくれるのか想像できる方が、さらに強い印象を与えることができる。BtoBの場合も、商品単位に対応する「営業マン(私が対応します)」や「開発責任者(開発秘話)」といったコンテンツを用意しておくと、サイト内のアクション率は高まる傾向がある。

 これは、「相手」が見えることによって、顧客に「安心感」を与えるためである。「顧客の声」など事例集が注目されるのは、実際に購入顧客がどのように商品を選び、効率化につながったかだけでなく、その企業(人)がどのように対応したのかを、知ることができるためと考える。

 顕在顧客(まだ購入していない顧客)にメールマガジンを送る際、配信担当者の氏名やニックネームを使用し、親近感を与える手法が取られることが多いが、リードジェネレーションサイト上のコンテンツにも、このような工夫が必要である。最近は、テレビコマーシャルなどで「社名+苗字」をセットに認知させ、その苗字の人がサイト上で商品を説明するリッチコンテンツを用意し、親近感を抱かせる手法がよく見られる。

行動プロセスからのナーチャリング計画

 次に、各メディアやチャネルなど、顧客と企業が接触する接点を行動プロセスに整理してみる。以下の図は、BtoCにおけるキャンペーン効果のプロセスを整理したものであるが、顧客とのチャネルの最適化やメディアの最適化などにも応用することができる。

[画像のクリックで拡大表示]

 リードナーチャリングを計画するにあたって、メディアやチャネルの接触ポイントを整理し、どの程度の潜在顧客や顕在顧客が存在するのかマッピングすると、行動プロセス上の弱点が見えてくる。図8-4-1はリアル店舗やリアルマーケティングを含んでいないが、対面営業スタイルで販売する業種の場合は、ネットやメディアだけでなく対面型のリアルマーケティングの役割や目的も明確になる。つまり、展示会やセミナーなどのマーケティング活動は、行動プロセス上でどこに位置付けられるのか、その役割や目的がはっきり見える。

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