3Dプリンター
2013年12月にドイツで開催された「EuroMold 2013」や、2014年1月に米国で開催された「International CES」では、海外の3Dプリンターメーカーから新製品が数多く発表された1、2)。DMS展では、これらの実機や造形サンプルなどが日本で初出展された(図5)*5。
*5 スリーディー・システムズ・ジャパンは、図5に示した造形サンプルの他、セラミックス粉末を材料として使う「CeraJat」や樹脂粉末を使えるフルカラー機「ProJet 4500」、パーソナル向け3Dプリンターの新製品「Cube3」「CubePro」などの実機や造形サンプルも展示した。一方、ストラタシス・ジャパンはStratasys社の子会社米MakerBot社の3Dプリンター新製品を出展。従来の代理店経由だけでなく、ストラタシス・ジャパンから提供することを2014年6月25日に発表した。
一方で、3Dプリンターはこれまでは海外メーカー製がほとんどだったが、ここにきて国内メーカーが開発した製品が増えてきている(別掲記事参照)。以下、国内メーカーが開発した3つの新製品を紹介する。
材料開発のための3Dプリンター
今回のDMSで出展された3Dプリンターの中で異彩を放っていたのが、マイクロジェット(本社長野県塩尻市)が開発した「MateriART-3D」(図6)。試作品や部品の造形ではなく、3Dプリンター用の材料を開発するために使う特殊な3Dプリンターである。
MateriART-3Dは、インクジェットノズルから材料を吐出する機構を持つ。つまり、インクジェットタイプの3Dプリンターを模擬できる。具体的には、光硬化性樹脂を造形材料として吐出するタイプの3Dプリンターと、粉末材料に対してバインダーを吐出するタイプの3Dプリンターがあり、それぞれの材料開発で活用できる*6。「日本の優れた材料技術を3Dプリンター分野で生かしたいとの思いから開発した」(同社代表取締役山口修一氏)。
*6 光硬化性樹脂を造形材料として吐出するタイプは2014年8月、粉末材料に対してバインダーを吐出するタイプは同年11月の発売を予定している。価格は機器構成によって異なるが、1000万~2000万円程度となる見込みだ。
本体内部の造形部手前にインクジェットのノズルから吐出した造形材料やバインダーを観察するためのカメラを備える。加えて、積層厚さやヘッドの移動速度、樹脂を硬化する紫外線の強度などさまざまな造形条件を設定できる。
例えば、積層厚さは最小1μm単位で調整可能だ。カメラで観察した樹脂の液滴の状態や、バインダーの粉体への浸透具合などを基に、材料の配合を調整したり、逆に材料に合った造形条件を探ったりといった使い方をする。
この他、2種類の材料を同時に造形可能で、ヘッドのノズル数も256程度のものから1000以上を搭載したものまで複数種類を提供する。これにより、材料開発においてさまざまな条件での実験が可能となる。材料メーカーでの利用を想定しており、装置の提供に加えて液滴や粉体の評価ノウハウも提供するという。