欧州連合(EU)の是正命令への遵守の一環として米Microsoftが提案している一部ソースコード参照ライセンスについて,Free Software Foundationの欧州部門(FSF Europe)とオープンソース・プロジェクトのSamba Teamが欧州委員会(EC)に意見書を提出した。FSF Europeがドイツで現地時間3月7日に明らかにしたもの。その中でFSF EuropeとSamba Teamは,「Microsoft社のソースコード参照ライセンスは『毒入りのハチミツ壺』(ハニーポット、罠)だ」と批判している。

 意見書では,Windows OSのソースコードの一部のみを参照する目的でライセンスを行うというMicrosoft社の提案が,EUが示す是正条件の履行義務としては「大いに不適切だ」と述べている。

 「フリー・ソフトウエア運用者は(ソースコード参照ライセンスに)できるだけ近づかない方がいい。BSDやGNU LGPLなどのフリー・ソフトウエア・ライセンスを適用していないソースコードを閲覧することは,フリー・ソフトウエア・プロジェクトを訴訟のリスクにさらすことになる。プロジェクトに提供されたコードが偶然にもMicrosoft社のライセンスした参照ソースコードと同様だった場合,提供者がMicrosoft社の参照ソースコードを見ていなくても,プロジェクトの誰かが参照ソースコードを閲覧したことがあれば,企業秘密の不正流用という疑いをかけられる」(意見書より)

 またFSF EuropeとSamba Teamは,ライセンスする参照ソースコードが実際にMicrosoft社が使用しているコードと同じなのか確信が得られないと,疑問を投げかけた。

 意見書はFSF EuropeのWebサイトで公開している。

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[意見書(PDFファイル)]