米Microsoftがソースコード開示ライセンス体系を簡素化し,新たに3種類のライセンス「Microsoft Permissive License(Ms-PL)」「Microsoft Community License(Ms-CL)」「Microsoft Reference License(Ms-RL)」を米国時間10月18日に発表した。新ライセンスは今後公開するソースコードに適用していく。

 Microsoft社はソースコード開示に関する取り組み「Shared Source Initiative」を通じ,過去5年間に80種類以上のソースコードを公開してきた。「当社以外から,この取り組みのライセンスを適用した600種類を超える技術が出ている」(同社)

 新しいライセンスは,ライセンス条項を簡素化し,短く分かりやすくしたという。3種類に減らしたことで,「当社内の手続きも簡単になり,より迅速にソースコードを開示できるようになる」(同社)。複数の同社製ソフトウエアのソースコードを利用する際に「必要なライセンスの数を減らす効果もある」(同社)としている。

 新ライセンスの概要は以下の通り。

・Ms-PL:
 3種類のライセンスのなかで最も制約が少ない。ソースコードの閲覧,改変,再配布が可能で,商用と非商用を問わず利用できる。他者とソースコードの共有も可能で,ライセンス料の徴収も自由に行える。同社はこのライセンスを,主に開発ツール,アプリケーション,各種コンポーネントに適用する

・Ms-CL:
 共同開発プロジェクトに適したライセンス。同ライセンスが適用されたソースコードを含むファイル全体に,同ライセンスの条件が及ぶ。同社は「Mozilla Public License(MPL)に似ている」と説明する。ソースコードの閲覧,改変,再配布が可能で,商用と非商用を問わず利用できる

・Ms-RL:
 閲覧のみが可能なライセンス。改変と再配布は行えない。主に開発ライブラリなどに適用する

 いずれのライセンスも著作権および特許はロイヤルティ・フリーで利用でき,同社に利用料を支払う必要はない。

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