複数のパソコン・メーカーがこのほど,米国司法省(DOJ)と欧州委員会(EU)に対し,米Microsoftの次期OS「Windows Vista」に独占禁止法(独禁法)違反の可能性があるとの申し立てを伝えた。こうしたメーカーの申し立ては,「Welcome Center」と呼ばれるWindows Vistaの初期設定画面(OOBE:out-of-box experience)に集中している。メーカーの主張によると,Windows VistaのWelcome Centerには,メーカーが必要としているカスタム可能なオプションが用意されないという。

 EUの独禁法関係者は2月10日に,欧州委員会(EC)がパソコン・メーカーの申し立てを「きちんと検討している」と認めた。ところがこの関係者は,正式な申し立ては行っていないと述べる。「米国やそのほかの国々の企業から,Windows Vistaの件で打診は受けた。いくつかの企業は,われわれのWindows Vistaへの対応について懸念を伝えてきた」(EC競争局最高事務官のPhilip Lowe氏)

 米国ではDOJの担当者が2月第1週に,Windows Vistaに関する申し立てを受け取ったことを明らかにしたものの,EUと同じく具体的なメーカー名については回答を拒否した。Microsoftは,米国およびEUの独禁法や,米国政府と結んだ独禁法違反に関する和解条件にWindows Vistaで違反しないと約束している。またMicrosoftによれば,同社はWindows VistaのWelcome Centerの設計を大手パソコン・メーカー20社と共同で行っており,不満がほとんど出なかったとしている。