米IBM,米Novell,米Parity Communicationsが米国時間2月27日に,個人情報の保護とオンライン利用の両立を目指すオープンソース・プロジェクト「Project Higgins」を支援すると発表した。3社はソースコードを提供するほか,ソフトウエア開発にも協力する。

 Project Higginsは,ユーザーが主体となって個人情報を管理,利用できるようにするため,ソフトウエアの開発に取り組む。ハーバード大学法科大学院バークマンセンター(Berkman Center for Internet & Society)の開発した概念をベースとし,オープンソースのソフトウエア開発団体Eclipse Foundationが運営している。

 銀行口座,電話,クレジットカードなどの番号や,医療記録,職務履歴などオンラインで扱う個人情報は現在,企業や公的機関の管理下にある。同プロジェクトのソフトウエアを利用すると,こうした情報をユーザー自身が管理し,アクセス許可を与える対象も選べるようになる。例えば,保険会社には個人情報と医療記録に対する広範なアクセス権を与え,ケーブル・テレビ会社のアクセス権は小さく制限するといった設定が可能となる。

 情報の変更も集中管理できる。住所やパスワードを変えた場合でも,1回の編集作業で安全かつ簡単に変更を伝えられる。

 IBM社,Novell社,Parity Communications社はProject Higginsに対してソフトウエアのソースコードを寄贈するとともに,プロジェクトの活動に参加し,ソフトウエア開発を支援して推進を図る。IBM社は,同プロジェクトの技術を「Tivoli」製品系列のID管理ソフトウエアに組み込む。独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)のProject Higgins対応の支援も行う。

 Project Higginsでは,LinuxとWindows以外のOSへの対応も計画している。また各種ID管理システムにも対応する予定という。

 なお米メディア(InfoWorld)は,Project Higginsのソフトウエアは2006年末までに利用可能になる見込みと報じている。

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