オンライン競売大手の米eBayは2004年12月29日,Microsoftのシングル・サインオン・サービスの「Passport」を2005年1月末に停止すると発表した。Passortシステムは,かつてインターネット・ユーザーにとって,シングル・サインオンの究極のソリューションと考えられていた。しかし,実際にはMicrosoft以外のWebサイトとWebサービスではほとんど使われない状況にあった。今回,同社の数少ないパートナ企業の有力な1社が,Passortシステムを打ち切ることで,Passportシステムの失敗を知らしめることになった。

 Microsoftは同技術を使うようにサイトを説得しようとしていたが,それを中止することを明らかにした。いくつかの報道では,Passportの競合相手である「Liberty Alliance」を取りざたしていたが,Passport中止とは関係なかった。むしろ,運命として背負っていたのは,消費者の無関心と,個人情報を含んでいるMicrosoftのサービスを使うことへの漠然とした不信である。

 典型的なMicrosoft商法として,同社はPassportの利用をMSNの無料メール・サービスHotmailという人気サービスにバンドルすることで,利用を促進しようとした。しかし,Passportを頻繁に使う消費者は伸びず,なにか価値あるものだが見捨てられたサービスとなってしまった。

(Paul Thurrott)


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