「米国と欧州における企業と消費者はリスクを認識しているものの,便利さと費用節約を求めてオンラインの取り引きを利用している」。米RSA Securityが米国時間2月15日,米国,英国,ドイツ,フランスの企業と消費者に対して実施したインターネットへの信頼度に関する調査結果を発表した。

 対象となった企業ではオンラインの売上高が増加しているが,多くはネットワークのセキュリティを懸念していることが明らかになった。米企業の62%はオンライン取り引きによる売上高が1年前よりも増加したとしている。この割合は,英国とフランスでは49%だった。ドイツは34%だったが,52%は前年と同じレベルだと回答している。また,企業の4分の3は,前年のオンライン上の取り引き件数が一昨年を上回ったとしている。減少したとする企業は1%だけだった。

 インターネットの収益源としての重要性が増すなかで,米企業の67%は自社ネットワークのぜい弱性に懸念を示している。英国,フランス,ドイツ企業の37%もセキュリティに対する懸念を明らかにしている。米国,英国,フランスの企業は平均86%がオンラインの取り引きを非常に安全だと考えているのに対し,ドイツの企業では64%にとどまっている。

 米国の企業は,欧州の企業と比べてネットワークのぜい弱性や第3者による不正な情報へのアクセスを懸念する割合が高い。米国の67%の企業がネットワークの脆弱性を懸念しているのに対し,欧州では平均37%だった。また,個人情報の窃盗に関しては,米国では10人中9人の消費者が認識しているのに対し,フランスとドイツでは3人に1人が個人情報の窃盗に関して聞いたことがないと回答している。

 消費者は,個人情報の保護に関して責任はオンライン業者と銀行にあり,問題が生じた場合には損害を補償する義務があると考えていることが明らかになった。しかし,取り引きにおける個人情報の保護に関して企業に最も責任があると考えている企業は26%だけだった。

 国別にみると,米国と英国の企業は,自社に責任があると考えている割合が高く,ドイツの企業は自社および銀行/クレジット・カード会社にあるとしている。フランスの企業では,自社よりも他の企業に責任があると考えている割合が高かった。

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