米Motorola傘下の米Freescale Semiconductorは,記憶容量24Mビットのシリコン・ナノ結晶メモリーを開発した。Freescale社が米国時間11月28日に明らかにしたもの。これにより同社は「浮遊ゲート技術を使った現行フラッシュ・メモリーの置き換えに大きく近付いた」としている。

 浮遊ゲート技術ベースのフラッシュ・メモリーは,組み込み用不揮発性メモリーとして普及している。しかし9~12V動作のデータ書き込み/消去用高電圧トランジスタに多くの面積が必要となり,製造プロセス・ルールを90nm以下に微細化してもメモリー・モジュール全体の小型化につながらないという。「信頼性を犠牲にしたり,メモリー故障やデータ損失のリスクを負わない限り,浮遊ゲート技術フラッシュ・メモリーの高電圧部分は縮小できない」(同社)

 シリコン・ナノ結晶メモリーは“薄膜ストレージ”と呼ぶ技術の一種で,不揮発性を示す。同社では「同メモリーのトンネル酸化膜の厚みはデータ保持性能に影響を与えず薄くできるので,従来の浮遊ゲート技術フラッシュ・メモリーよりも微細化が可能」と説明する。

 シリコン・ナノ結晶メモリーについて,Freescale社CTOのClaudine Simson氏は「動作電圧が低く,メモリー・モジュールの微細化が可能で,製造プロセスも比較的簡単」と述べる。さらに,「製造にあたって新しい素材やウエーハ製造装置などは不要で,既存の工場をすぐにシリコン・ナノ結晶メモリー対応に変えられる」(同氏)

 同社は実際に作動する24Mビット版シリコン・ナノ結晶メモリーの製造を,同社のオースチン技術&製造センターで90nmプロセスCMOS量産技術を適用して実施した。

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