米Ciscoの資料より引用
米Ciscoの資料より引用
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 米Cisco Systemsが,Wi-Fi対応のメッシュ型無線LAN環境構築ソリューションを米国時間11月15日に発表した。同ソリューションによるネットワークは,オハイオ州デイトンとオレゴン州レバノンで試験的な運用が始まった。

 Cisco社の同ソリューションは,通信に利用するアクセス・ポイント(AP)を動的に切り替える同社のプロトコル「Adaptive Wireless Path Protocol」をベースとする。このプロトコルにより,メッシュ・ネットワーク内で通信状態が最もよいAPを状況に応じて常時利用できる。ネットワークにAPが追加された場合は,各APがデータ・ルーティングの調整を自動的に行う。

 また新AP製品系列「Cisco Aironet 1500 Series」で,ネットワーク管理システム「Cisco Wireless Control System(WCS)」を利用可能とした。WCSを使うと,メッシュ・ネットワークを構成する各AP自体の設定や,セキュリティ・ポリシーと無線通信パラメータの調整が行える。トラフィックや通信の状態,クライアントの情報なども取得できる。

 同社の協力でメッシュ型無線LAN環境を構築したデイトンとレバノンの概要は以下の通り。

・デイトン:
 人口16万6000人。現在は1平方マイル(約2.6平方km)の地域でWi-Fi通信サービスを無料提供している。これを2006年末までに55平方マイル(150平方km)に広げる計画。将来は,市営バスの車体にメッシュ・ネットワーク用APを取り付け,乗客にインターネット接続サービスを提供する

・レバノン:
 人口1万3000人弱。市街部の約40%をサービス・エリアとしている。パトカーや公用車にメッシュ・ネットワーク対応端末を装備し,試験運用を行う予定

 なお同社のメッシュ型無線LAN環境構築ソリューションに対しては,米Hewlett-Packard(HP)と米IBMが対応を表明している。

 またCisco社は同日,企業や公的機関向けの無線LANソリューション「Unified Wireless Network」についても明らかにした。無線および有線LAN環境の導入を支援するために,「Catalyst 6500 Series」用の「Cisco Wireless Service Module(WiSM)」や,「Integrated Services Router(ISR)」製品系列用の「Cisco Wireless LAN Controller Module」,エンド・ツー・エンドのサービスなどを提供していく。同ソリューションは2005年末に利用可能とする。

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[発表資料(メッシュ型無線LAN環境構築ソリューション)]
[発表資料(Unified Wireless Network)]