調査内容 2009年第1四半期IT予算の分野別予算額(予測)
調査時期 2008年12月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3229件(1207件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った調査で,2009年第1四半期(2009年1月~3月)のIT予算額の見込みについても,適用業務やITインフラの分野,ハード/ソフト別などで聞いた。

 適用業務アプリケーション8分野(その他の適用業務分野を除く)では,前期(2008年第4四半期,2月6日付け記事参照)に続いて「経営戦略系」(約2140万円)と「CRM・顧客関連」(約2100万円)が突出して高い。しかし,前期までの調査で業務アプリ8分野中最大規模の平均予算額を誇っていた「SCM」は,前期のほぼ半分(約54%)の約1420万円に縮小した。

「SFA・営業系」の平均予算額は2008年10月~12月より3割増

 業務アプリ8分野の中で,前期2008年第4四半期と比較して平均予算額が伸びたのは約31%増の「SFA・営業系」のみ。「物流」「生産管理」「経営戦略系」は前期比5%以内の小幅な増減。「人事・給与」は約7%減,「CRM・顧客関連」は約15%減,「会計」は約2割の減少となっている。

 システム・インフラ7分野(その他のインフラ分野を除く)では,「運用・危機対策系」の平均予算額が前期2008年第4四半期より約4割増の約1450万円。前期に続いて平均予算額が7分野中最大となった「情報系」も,約8%増で約1490万円。残りの5分野は前期2008年第4四半期の平均予算額より減少しているが,いずれも10%以内の比較的小幅な減である。

 「新規システム開発」の四半期予算は約1310万円で前期比約2割減。逆に「既存システムの再構築」は約1割増,「運用・保守開発」はほぼ前期2008年第4四半期の平均予算額と同じだ(約1%増)。

「再構築」「SCM」「SFA・営業系」の予算額は前年同期比でほぼ半減

 「システム再構築」は2008年3月調査の2008年第1四半期(2008年1月~3月期)での約2210万円をピークに,前期まで3期連続で平均予算額が低下していたが,この2009年第1四半期でようやく反転。ただしピークだった前年同期の平均予算額に対して,今回の調査での2009年第1四半期の平均予算額は約半分に減少している。これは図示した20分野(「その他」分野を除く)の中で,最も大きな減少率の水準だ。同様に2008年第1四半期の平均予算額に対して,今回の2009年第1四半期の平均予算額が約50%のレベルに低下した分野には,ほかに業務アプリの「SCM」(2008年第1四半期の平均予算額は約2790万円)と「SFA・営業系」(同約2310万円)がある。

 「新規開発」の平均予算額は2008年6月調査の2008年第2四半期(2008年4月~6月期)での約2280万円がピークで,2008年第3四半期(2008年7月~9月期)に前期比約3割減。2008年第4四半期はほぼ第3四半期と同額で,今回また前期比約2割減と,1期ごとに低下している。2008年第1四半期の平均予算額に対する今回の平均予算額(前年同期比)は約60%の水準だが,同レベルの分野はほかに業務アプリの「物流」(2008年第1四半期の平均予算額は約1740万円),インフラの「インターネット系」(同約1510万円)と「ストレージ系」(同約1190万円)がある。

 「ハード購入」と「ソフト購入」の2009年第1四半期の平均予算額は,ともに900万円弱。前期2008年第4四半期と比較すると「ソフト購入」は約15%増,「ハード購入」はほぼ前期並み(約3%減)である。しかし2008年第1四半期の平均予算額に対する今回の平均予算額(前年同期比)で見ると,両分野の増減傾向は逆転して,「ハード購入」は約13%減少,「ソフト購入」はほぼ前年同期並み(約2%増)となっている。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく,四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合,それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「平均の予算額(四半期予算平均額INDEX)」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「本四半期はゼロ」を0,「100万円未満」を50万円,「100万円以上300万円未満」を200万円,「300万円以上1000万円未満」を650万円,「1000万円以上3000万円未満」を2000万円,「3000万円以上5000万円未満」を4000万円,「5000万円以上1億円未満」を7500万円,「1億円以上3億円未満」を2億円,「3億円以上」を4億円に換算して平均した。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。
 なお,適用業務分野の「SFA・営業系」と「SCM」と「物流」の3分野は2007年6月調査(2007年4月~6月期),「会計」以外の適用業務分野の7分野とシステム・インフラ分野の「運用・危機対策系」と「ストレージ系」と「アプリケーション(システム)間連携基盤系」は2007年3月調査(2007年1月~3月期)で,回答数が30件未満のため四半期予算額INDEXは参考値。2007年9月調査と2008年3月調査以後今回の2008年12月調査までは,「その他」以外での参考値扱いの分野はない。
 調査実施時期は2008年12月中旬,調査全体の有効回答は3229件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1207件。

図●次の四半期(2009年1月~3月)の分野別IT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲)
図●次の四半期(2009年1月~3月)の分野別IT投資予算額(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲)