調査内容 2008年第3四半期IT予算の分野別予算額
調査時期 2008年9月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3158件(1196件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者を対象に行った調査で,2008年7月~9月四半期のIT予算額を適用業務やITインフラの分野,ハード/ソフト別などで聞いたところ,適用業務アプリ8分野(その他の適用業務分野を除く)は「SCM系」が約3570万円で前回2008年6月調査での前期2008年4月~6月期の平均予算額を約2割,「会計系」が約1710万円で同約6割上回ったものの,他の6分野は軒並み前期よりダウン。特に「物流」(前期約1460万円→今期約570万円),「SFA・営業系」(約1590万円→約570万円)は約6割のダウン。「CRM・顧客関連」もほぼ半減(約1690万円→約860万円)。「経営戦略系」と「人事・給与」に至っては前期の約2割にまで平均予算額が減少した。

 前年同期の2007年9月調査(2007年7月~9月四半期)と比べると,「会計系」は約3.7倍,「生産管理」が約1.7倍に拡大した一方で,「SCM系」は約6%,「物流」と「人事・給与」は約15%のダウン。「CRM・顧客関連」の平均予算額は前年同期の7割弱,「経営戦略系」と「SFA・営業系」は6割弱と大きく下げている。

 業務アプリ系は分野間に大きな差が出たのに比べると,システム・インフラ7分野(その他のインフラ分野を除く)はばらつきが小さく,前期2008年4月~6月期の平均予算額に対して今期はいずれも約2割~5割の減少。最も減少率が大きいのは「セキュリティー系」(前期約980万円→今期約490万円),最も小さいのは「運用・危機対策系」(約1320万円→約1030万円)だった。前年同期の2007年7月~9月四半期との比較では,「ネットワーク系」がほぼ同額を維持(約610万円)したのが最高で,「ストレージ系」が約1割減(約770万円→約680万円),他の5分野は約3割~4割の減少となっている。

 「新規システム開発」と「運用・保守開発」は前期2008年4月~6月期の平均予算額に対して約3割,「既存システムの再構築」は約2割減。前年同期に対しては「新規システム開発」が微減(1年前が約1670万円→今期約1650万円)だが,「既存システムの再構築」(約1570万円→約1280万円)と「運用・保守開発」(約1080万円→約860万円)はほぼ2割の予算減となっている。

 前期は前々期2008年1月~3月期(2008年3月調査)とほぼ同額だった「ハード購入」と「ソフト購入」も,今期は予算減。ハードは約25%,ソフトは約1割ダウンした。ただし前年同期に対してはいずれも予算増となっている(ハードは1年前が約660万円→今期約730万円,ソフトは約490万円→約760万円)。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく,四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合,それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「平均の予算額(四半期予算平均額INDEX)」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「本四半期はゼロ」を0,「100万円未満」を50万円,「100万円以上300万円未満」を200万円,「300万円以上1000万円未満」を650万円,「1000万円以上3000万円未満」を2000万円,「3000万円以上5000万円未満」を4000万円,「5000万円以上1億円未満」を7500万円,「1億円以上3億円未満」を2億円,「3億円以上」を4億円に換算して平均した。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。
 なお,適用業務分野の「SFA・営業系」と「SCM」と「物流」の3分野は2007年6月調査(2007年4月~6月期),「会計」以外の適用業務分野の7分野とシステム・インフラ分野の「運用・危機対策系」と「ストレージ系」と「アプリケーション(システム)間連携基盤系」は2007年3月調査(2007年1月~3月期)で,回答数が30件未満のため四半期予算額INDEXは参考値。2007年9月調査と2008年3月調査,2008年6月調査,今回の2008年9月調査では,「その他」以外での参考値扱いの分野はない。
 調査実施時期は2008年9月中旬,調査全体の有効回答は3158件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1196件。

図●最新四半期(2008年7月~9月)の分野別IT投資予算(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲)
図●最新四半期(2008年7月~9月)の分野別IT投資予算(回答者が予算執行・承認権限を持つ範囲)