調査内容 2008年第2四半期のIT予算の前年同期比増減(業種別)
調査時期 2008年6月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3163件(1207件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2008年6月調査で,2008年4月~6月四半期のIT予算の前年同期比を,製造,流通,サービスの業種別(「調査概要」参照)に集計したところ,製造業は前年同期比平均5.5%増,流通業は同4.4%増,サービス業は同4.8%減だった。前回の2008年3月調査(2008年第1四半期)は3業種の前年同期比増減率がいずれもプラスマイナス3%以内の「前年同期並み」だったが,今回の2008年第2四半期ではやや平均増減率の幅が拡大した。

 このうち製造業は,過去7回の「四半期予算の前年同期比増減率」調査の中で,前回2008年3月調査で初めて平均の増減率がマイナス(-2.7%)に下がった。今回はプラスに戻り,上記3業種では最も高い前年同期比の予算増加率となったが,製造業の予算増加率としては2番目に低い(2007年9月調査の2007年7月~9月四半期の+5.5%と同率)。

 逆に流通業は(7回の調査中3回が有効回答数30件未満で参考値),前回2008年3月調査で初めて平均の増減率が+0.2%ながらプラスとなり,今回はさらに4.2ポイント上昇した。

 前々回2007年12月調査(2007年10月~12月四半期)で初めて前年同期比マイナス(-3.6%)に落ちたサービス業は,前回の+1.8%から再び今回-4.8%に大きく下げた。

 ちなみに図示していないが,今回の2008年第2四半期は「政府・自治体・公共」業種の平均予算増加率が+9.9%(n=35)と高い増加率を示した。回答数30未満のため参考値になるが今回の「金融/証券/保険業」は-2.9%(n=18)。前回の2008年3月調査では,「政府・自治体・公共」は前年同期なみの+1.7%(n=36),「金融/証券/保険業」は回答数30未満のため参考値だが+20.3%という高い予算増加率だった。

 回答の内訳を前回2008年3月調査と比較して見ると,製造業は「90%以上110%以内(ほぼ前年同期なみ)」が約10ポイント拡大し,前々回2007年12月調査とほぼ同じ58.5%に戻った。その分,「前年同期比で予算減」とした回答者の合計比率が9.4ポイント減少。特に「前年同期の50%未満にまで削減」の比率が前回調査より6.6ポイント縮小(前回は前々回に対して5.7ポイント拡大)し,これも前々回2007年12月調査の5.0%とほぼ同じ4.1%に戻った。

 流通業の回答の内訳は,「ほぼ前年同期なみ」が前回2008年3月調査から約10ポイント縮小。「前年同期比で予算増」側が前回より4.9ポイント,「前年同期比で予算減」側も5.2ポイントと,増減ともに拡大している。サービス業では,「2割以内の減少」が前回調査より4.1ポイント増え,「200%超(倍増を超える)」が5.1ポイント減少した。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。
 新規購入や開発中の案件がなく、四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い、減価償却費のみの場合、それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが、自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 「製造業」は「機械製造」,「コンピュータ,周辺機器製造」,「その他電気・電子機器製造」,「上記3種以外の製造業」を合計した。本文中の「政府・自治体・公共」は「政府/官公庁/自治体/団体」,「教育/研究機関」,「医療機関/介護施設」の合計である。
 「サービス業」は「サービス業(マスコミ,広告,デザイン,飲食店,その他)」,「専門サービス(弁護士/会計士など)」,「金融/証券/保険業」,「運輸/エネルギー」,「通信サービス」,「情報処理/ソフトウエア/SI・コンサルティング/VAR」の合計。
 「流通業」は「商社」,「コンピュータ関連販売」,「上記2種以外の流通/小売」の合計。なお本調査ではコンピュータ関連業種の回答者にも「自社の業務処理のためのIT投資」について回答することを求めた。
 なお,2006年9月調査(2006年7月~9月期)は「全社情報システム担当者」の回答のみだったのに対し,2006年12月調査(2006年10月~12月期)からは「部門/事業所/ワークグループ・レベルの情報システム担当者」の回答も含んでいる。
 調査実施時期は2008年6月中旬,調査全体の有効回答は3163件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1207件。

図●最新四半期(2008年4月~6月)予算総計の前年同期比増減率(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額,業種別)