米国連邦取引委員会(FTC)は米国時間12月20日,米Googleによる米DoubleClick買収計画を許可したと発表した。委員による投票の結果,4対1で承認したもの。

 FTCは「GoogleがDoubleClickを買収しても,オンライン広告市場の競争は大きく損なわれない」と結論付けた。また,消費者のプライバシが脅かされるという懸念に対しては「GoogleとDoubleClickの合併だけに限られる問題ではなく,オンライン広告市場全体が関係する」と判断した。

 GoogleはFTCの承認を歓迎しているものの,同様の調査を進めている欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)から許可を得るまで買収を実行しないとしている。

 なお,欧州消費者機構(BEUC)などはECの独占禁止法(独禁法)担当委員トップであるNeelie Kroes氏に対して,GoogleのDoubleClick買収で消費者のプライバシが危険にさらされると指摘し,慎重に検討するよう要請する書簡を送った。

 GoogleのDoubleClick買収計画に関するこれまでの経緯は以下の通り。

 Googleは2007年4月13日,DoubleClickを31億ドルで買収する計画を発表した(関連記事:Googleが過去最大の企業買収,DoubleClickを31億ドルで)。その翌日,同様にDoubleClick買収を検討していたとされるMicrosoftが米国政府に対し,「Googleによるオンライン広告市場の独占につながる」として買収を阻止するよう公に訴えた(関連記事:Microsoft,GoogleによるDoubleClick買収の阻止を米国政府に要求)。また複数の団体も同買収計画への異議を申し立てた(関連記事:GoogleのDoubleClick買収計画にプライバシの懸念,3団体がFTCに申し立て)。9月には米連邦議会が調査に乗り出し,上院司法委員会で聴聞会が開かれている(関連記事:GoogleのDoubleClick買収計画,聴聞会でGoogleとMicrosoftが意見表明)。

 その後,米連邦議会の議員がFTCに慎重な調査を求めたほか(関連記事:米2上院議員,GoogleのDoubleClick買収について慎重な調査をFTCに要請),FTC委員長と買収計画との利害関係が取り沙汰されたが(関連記事:FTC委員長,Google-DoubleClick買収計画との利害関係を否定),FTCは最終的に買収を許可した。

 一方,欧州ではECが本格的な調査に乗り出し,2008年4月2日までに結論を出す(関連記事:欧州委員会,GoogleのDoubleClick買収計画について本格的調査を開始)。これについて,GoogleはECから許可を得られないとの見方がある(関連記事:EU,現時点ではGoogleのDoubleClick買収を許可しない方向)。

[発表資料(FTC)]
[発表資料(Google)]
[発表資料(Google)]
[発表資料(BEUC,PDF形式)]
[BEUCなどがECに宛てた書簡(PDF形式)]