欧州連合(EU)の競争法(独占禁止法)担当委員らは11月13日(ベルギー時間),米Googleが31億ドルで米DoubleClickを買収する計画について,調査期間を延長する必要があると発表した。当初実施した調査で「競争に対する懸念」が浮上したというのだ。これにより,EUの欧州委員会(EC)は,Googleによる買収が欧州競争法に違反するかどうかの判断を2008年4月2日までに出すことになった(関連記事:欧州委員会,GoogleのDoubleClick買収計画について本格的調査を開始)。

 Googleは,買収手続きを2007年中に完了できると見込んでいた。ところが,米国でも米連邦取引委員会(FTC)がこの買収計画を調査している。FTCとECは,Google/DoubleClickの競合企業やプライバシ擁護団体から「GoogleがDoubleClickを買収すると,Googleのオンライン広告市場における力が不当に強まり,消費者がプライバシ侵害のリスクにさらされる」という訴えを数多く受け取った。

 GoogleのCEOであるEric Schmidt氏は,EUの発表を受け「引き続きECの調査に協力し,この買収提案が広告掲載メディア,広告主,消費者の利益になることを示していく」と述べた。「米Microsoftや米Yahoo!,米AOLやその他企業は,競争の激しいオンライン広告市場で買収計画が承認されている。こうしたライバルとの競争で不利になってしまうため,これ以上の遅れは避けたい」(Schmidt氏)。

 これらライバルによる買収の規模はGoogleの計画より小さく,DoubleClick買収に対する当然の対抗策であったのだが,もちろんSchmidt氏はそのことに触れていない。Googleは,すでにオンライン検索広告市場のシェア70~80%を握っており,DoubleClick買収でオンライン画像広告(バナー広告など)市場も支配するようになると,オンライン広告市場の最も利益を上げられる2分野で確固たる地位を築いてしまう。