2013年10月15日から17日にかけて都内で開催された「Gartner Symposium/ITxpo 2013」。ガートナーの国内外のアナリストが集結し、ITの未来を大胆に予測した。
例えば、米ガートナーでシニア・バイスプレジデント兼リサーチ部門の最高責任者を務めるピーター・ソンダーガード氏は、「2020年には、企業内のあらゆる予算がIT関連になり、全ての企業がテクノロジー企業になる」と予測。企業内のあらゆる業務にITが関係し、IT部門の役割が大きく変わるとした。
こうした時代の変化に即応するためには、IT部門、特にCIO(最高情報責任者)には意識改革が求められる。ガートナー ジャパン リサーチ部門 リサーチ ディレクターの鈴木雅喜氏は、従来のIT部門がやってきたことだけを重視するCIOを「バックオフィス型CIO」と呼び、その影響力は著しく低下すると警鐘を鳴らす。それに対して、「企業の“全方位のデジタル化”を推し進められる『戦略・利益追求型CIO』は、これからますます影響力が上がっていく」と、CIOは変わるべきだと主張する。
この戦略・利益追求型CIOは、一方で、企業のデジタルビジネス戦略の立案を担うCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)としての役割を負うとガートナーのアナリストたちは言う。ガートナーは、2015年までに企業の25%がCDOを置くと予想。米ガートナーでリサーチ部門バイスプレジデント兼ガートナーフェローを務めるデーブ・アロン氏によると、既にグローバルでは500人以上のCDOがいるという。「CDOにステップアップしない限り、(CIOの)戦略的な重要性は下がっていく」(アロン氏)。
また、米ガートナー リサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストのドナ・スコット氏は、「Gartner Predicts 2014:IT部門のための10大展望」という講演に登壇。ガートナーが予測する10の展望について、それぞれが企業のIT戦略やビジネス戦略と方向性に、どんな影響を及ぼすかを解説した。
この10の展望の中には、「2020年までに、知識労働者の大半のキャリア・パスは、スマート・マシンによって良くも悪くも破壊されるだろう」などというショッキングなものも含まれる。ただし、スマート・マシンによって奪われる仕事がある一方で、スマート・マシンによって生まれる仕事もある。「競争での優位性と全く新しいビジネスを生み出せることを、ITプロフェッショナルは認識する必要がある」(スコット氏)。
ITの進化はとどまるところを知らない。ITに関係するビジネスパーソンは、来るべき未来を見据えて戦略を練る必要がありそうだ。
Gartner Symposium/ITxpo 2013のニュース
- 「東京五輪の年には全ての企業が“IT企業”に」、米ガートナーが予測
- 「BYODにおいては個人も管理責任を負うべき」、ガートナーのデュレイニー氏
- 「2017年までにコンピュータの10%は学習するマシンに」、米ガートナーが“10大展望”を解説
- 「囲碁の知恵がIT戦略に生きる」、ガートナーの囲碁愛好アナリストが提案
- 「エンタープライズITは第3の時代に入った」、米ガートナーのアロン氏
- スマート・マシンの光と影をガートナーが解説、「(大量失業などの)悪影響より利点もたらす」
- 「モビリティが企業の成功の鍵に」、ガートナーが2017年までのモバイルトレンドを予測
ITpro EXPO 2013でのガートナー・セッション
2014年に向けたIT指南役の直言(インタビュー)
- 2極化するオフショア開発、日本企業が世界で成功する秘訣とは
ガートナージャパン リサーチ部門 ソーシング バイスプレジデント 足立祐子氏 - ソーシャルがもたらすイノベーションが企業の意思決定プロセスを変える
ガートナー ジャパン リサーチ部門 ソーシャル・ネットワーク&コラボレーション リサーチ バイス プレジデント 志賀嘉津士氏 - 「縄張」「石垣」「天守閣」「武者走」、セキュリティ対策は築城のように取り組め
ガートナー ジャパン リサーチ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ セキュリティ担当主席アナリスト 礒田優一氏 - IT投資を総合的に分析するメカニズムの構築が企業のITマネジメントを加速する
ガートナー ジャパン リサーチ部門 バイス プレジデント 松原榮一氏 - 人に近づくコンピュータ、それを前提に企業戦略は練る
ガートナー ジャパン リサーチ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ バイス プレジデント 兼 最上級アナリスト 亦賀忠明氏