写真1●米ガートナー リサーチ部門バイスプレジデント兼ガートナーフェロー デーブ・アロン氏
写真1●米ガートナー リサーチ部門バイスプレジデント兼ガートナーフェロー デーブ・アロン氏
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 「企業やCIO(最高情報責任者)にとって、突如として世界が全く変わってしまった。エンタープライズITは第3の時代に入った」。米ガートナーでリサーチ部門バイスプレジデント兼ガートナーフェローを務めるデーブ・アロン氏は、都内で開催中の「Gartner Symposium/ITxpo 2013」のメディア向けセッションでこう強調した(写真1)。

 アロン氏はエンタープライズITについて、2000年頃までを「第1の時代」、それから現在までを「第2の時代」と定義。第2の時代を「ERP(統合基幹業務システム)が中心の時代」としたうえで、「(企業内部のビジネスプロセスの効率化が中心で)真のイノベーションがなかったことが課題だった」と語った。

 それが最近になって、クラウドコンピューティングやビッグデータ分析というように、「大きな価値を生む技術が出てきている」と指摘。アロン氏はそんな変化を捉えて、「第2のエンタープライズITの時代にとどまったままでは、企業が先に進むための障害になりかねない」と警鐘を鳴らした。その理由として、「IT部門が事業部門をお客様とみなしていること」「ビジネスプロセスへの執着」「企業内におけるIT部門のブランドの問題」の3つを挙げた。

写真2●ガートナージャパン エグゼクティブプログラム バイスプレジデント兼エグゼクティブパートナー 長谷島眞時氏
写真2●ガートナージャパン エグゼクティブプログラム バイスプレジデント兼エグゼクティブパートナー 長谷島眞時氏
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 アロン氏はセッションの中で、デジタルビジネス戦略の立案を担う「CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)」についても触れた。アロン氏によれば、グローバルでは500人以上のCDOがいるという。まだ数としてはそれほど多くないが、「かなりのスピードで伸びている」ことを明かした。

 フロントオフィスが役割の中心になるCDOについて、アロン氏は「CIOが担うことは可能」とし、「CDOにステップアップしない限り、(CIOの)戦略的な重要性は下がっていくのでないか」と力を込めた。

 その後のQ&Aには、ガートナージャパンでエグゼクティブプログラム バイスプレジデント兼エグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏も参加(写真2)。アロン氏の「エンタープライズITは第3の時代に入った」という指摘について、「(エンタープライズITは)非連続な変化点に差し掛かっている」という考えを示し、「CIOには前向きな危機感を持ってほしい」と話した。