「モビリティの成功が企業の成功につながる」---。

 2013年10月15から17日までガートナー ジャパンが開催した「Gartner Symposium/ITxpo 2013」で、米ガートナーのリサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストのケン・デュレイニー氏が「モバイル・シナリオ:ビジネスの課題解決へどう進むべきか」と題する講演の中で繰り返し語った言葉だ(写真1)。デュレイニー氏は、2017年までの主要なモバイルとワイヤレスのテクノロジー、市場動向、そして、企業が今後どのようにモバイルテクノロジーを活用していくべきかについて解説した。

 講演の冒頭、デュレイニー氏は、モビリティの重要性を正しく理解し、その新たな活用の方法を見いだすためには、「モバイルの完璧性ではなく、モバイルの利点を追求することが重要である」と切り出した。「モバイルを活用することによって顧客との新しい関係性を築ける」「新しい働き方ができるようになる」といった、モバイルを活用することによるメリットに、まずは目を向けるべきだというのだ。

 「(モビリティがどう活用されるべきかといった)モビリティの最終形は誰にもわからない。今はスピードが求められている。重要性を認識して積極的に活用していく姿勢こそが重要だ」(デュレイニー氏)。

アップル、グーグル、マイクロソフトがリードするデバイス市場

写真1●米ガートナー リサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストのケン・デュレイニー氏
写真1●米ガートナー リサーチ バイスプレジデント兼最上級アナリストのケン・デュレイニー氏
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 講演の最初のテーマである、2017年までの主要なモバイルとワイヤレスのテクノロジー、市場動向について、まず、デュレイニー氏が指摘したのは2015年の主要なプラットフォームとして「iOS、Android、そしてWindowsの3つしか残らない」ということだ。併せてワイヤレス・ネットワーク・テクノロジーについては、今後、ワイヤレスでも動画によるコミュニケーションが、ますます増えることが予測される。そのため「LTE-Advancedへの移行が加速するだろう」とした。

 将来的なモバイル・デバイス・ベンダーとしては、「米アップルと韓国サムソン電子、そしてフィンランドのノキアの動向にも注目だ。ノキアはマイクロソフトと連携し、Windows Phoneでの巻き返しを図ろうとしている」(デュレイニー氏)とした。つまり、2017年までのモバイルデバイスの市場では、アップル、グーグル、マイクロソフトの3社がOSでもデバイスでも、マーケットをリードしていくと予測した。

IoTの時代、スマートフォンで多くの機器を制御可能に

 モバイルデバイスのOSやハードウエアの進化については、アップル、グーグル、マイクロソフトの3社が、そのトレンドをリードしていくと予測されるが、鍵を握るワイヤレス通信の技術では、Wi-Fiが重要なネットワークのバックボーンになると強調した。「Wi-Fiはすべての小型機器に必須の機能となる。Wi-Fiなくしての製品開発はあり得ない」(デュレイニー氏)。