どんな悩みごとでも、解決の筋道を明快に提示してみせる奥井規晶氏の人気コラム「続・奥井規晶の悩むなら聞け!」。このコラムで比較的多い種類の相談の1つは、「キャリアに関する悩みの相談」だ。このような悩みの相談でたびたび奥井氏が推奨している分析手法が「SWOT分析」である。
SWOTとはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったもの。企業組織においては、事業戦略を立てる際などに役立てることが多い。コンサルティングの領域では、古典的な手法であり、実際、ITパスポート試験ではたびたび出題されている。
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【事業分析など一般的な用途での主なSWOT分析関連記事】
- SWOT分析で把握できるものはどれか(出題例その1)
- SWOT分析において、外部環境分析の観点はどれか(出題例その2)
- SWOT分析を駆使して解決すべき顧客の課題を抽出(営業での活用例)
もちろん奥井氏も、システム子会社の人が親会社への貢献アイデアを検討するに当たって、このSWOT分析を活用するよう勧めたことがある。
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【一般的な用途でのSWOT分析を勧めた相談回答】
- 情報子会社として親会社の事業戦略に貢献したい。どうすればいい?
こうした使い道がSWOTのオーソドックスな活用法だが、キャリアを戦略的に考える際にも活用できる、というのが奥井氏の考えだ。IT技術者にとって、スキルや技術力をどう伸ばしていくかは、時には不安や悩みの種となりやすい。そんなとき奥井氏は「自分の現在の価値を見出す必要があります。それには、自分のSWOT分析をしてみるのが一番です」とたびたび活用を勧めてきた。
さらに今回、読者にぜひ伝えたいこととして以下のメッセージを寄せている。「孫子の兵法に『敵を知り己を知れば百戦危うからず』とあるように、何か悩みがある場合はまず、『自己SWOT』で自分自身を冷静に分析することが大事です。敵(相手、悪い状況)のことばかり考えていては、よい答えが浮かばないものなのです」。
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【キャリアの悩みを解決するに当たってSWOT分析を勧めた相談回答】
- 携帯・スマホ向け開発に携わっていますが将来が不安です。業務系開発に移るべきでしょうか
- 理不尽な上司に嫌われて悩んでます。転職活動もスムーズに進んでいません
- 入社以来15年、下流工程ばかり担当してきました。上流工程に移りたいが、自信がありません
- 開発者として配属されたはずが、毎日雑務ばかり。何の技術も付かないと思い転職を考えています。
- 本質をきちんと考えない、バカな上司や経営陣に失望しています。
ただし、自分自身の長所短所を自分だけで正確に分析するのは難しい。そこで奥井氏はこうもアドバイスしている。「この分析をまずは自分で行って、できれば仲の良い友人にチェックしてもらうのがよいです」「自分の『強み』『弱み』が何かを特定するのは、自分一人で考えても、ろくな結果が出ません。そこで、客観的な意見を言ってくれる友人に相談しましょう。外部要因である『機会』と『脅威』も、同様に複数の意見を取り入れるほうが、より正確になります」。
実際の分析例については、相談者のキャリアを分析した回答例を参考にしてほしい。もちろん「自分自身のキャリアをどうこの手法に当てはめて書き込めばいいかよくわからない」あるいは、「分析はしてみたが、まだ不安や悩みが残っている」という方もおられることだろう。そのようなときは遠慮なく、当コラムに(もちろん匿名で)相談をお寄せいただきたい。