Q: 本質をきちんと考えない,バカな上司や経営陣に失望しています。

 今年度は,原油高の影響で主要顧客がシステム投資を抑え,その影響でとても厳しい状況。この何年かは毎年最後まで売り上げ見込みが立たず,冬の賞与はカットされ,その後(他社の失敗など神風が吹き)なんとか売り上げを確保し,期末で調整されていました。

 小さい会社なので経営陣(トップ,取締役)や上司(部長)などとは身近に話せるのですが,いろいろと話すと,彼らとはどうも根本的なところで違和感を覚えます。

 例えば・・・

・「戦略会議」という名の会議の中で,億単位の売り上げ不足が予想されているにもかかわらず,10万,100万単位のお金を一生懸命合わせるることに終始し,その他は進捗報告のみ
・情報セキュリティがテーマの場合,本当に情報セキュリティが守られるにはどうすればよいかを議論するのではなく,ドキュメントの整備に終始
・人材育成の場合,資格は評価の基準の1つにはなり得るが,資格だけで評価するのではなく本質的な評価が必要という主張に対し,どうしても資格重視の考えに偏る
・高い単価の人がいっぱい無駄な(本質的でない)作業をしているが,高役職の中身は評価されず,新人の残業代をカットしようとする

などなど。

 どうも,仕事に対する考え方は二通りあり,一つは中身や結果はどうでもよく,ただ指示されたミッションをこなせばよいという考え方。もう一つは,やらなければならない本質をきちんと考え,指示された内容でも腹に落ちなければ,命題から考え直す,という考え方。

 どうも前者の考え方の人が上の役職に多くいるようで,その人たちと話していると,どうも根本的なところで話がかみ合わなくなります。そのような状況は,どのように対応すればよいのでしょうか。
(係長クラス 開発SE/男性・34歳)

A: キャリアと現状への意思を明確にせよ。変革を望むなら改革提案を。

 結論から言いますと,あなたの会社には本当の経営者はおらず,いるのは役員になった管理者ばかり,ということです。

 これからこの業界を襲うであろう不況を考えますと,あなたの会社が直接顧客から仕事を請けている元請けであるならば,外注費削減という手段がありますので,それでもまだ何とかなる可能性があります。そして不況が終わればまた元通りになるでしょう。しかし,あなたの会社が下請けであれば,これは大変な経営危機です。よほどの営業力がない限り,生き残れない可能性があります。生き残れても,かなりのリストラが必要でしょう。

 その場合,本来最初にリストラされるべき役員は最後まで残り,現場のエンジニアが切られるのは明らかですね。億単位の売り上げ不足で小額の売り上げを議論しているのであれば,営業力がさほどあるとは思えませんので,残念ながらこの場合は,現場リストラが4月以降,夏あたりに起こるでしょう。

 このようにバカな経営者を持ったあなたの今後すべきことは,あなたの将来のキャリア計画を基本にして考えるべきです。

パターン1 自分は技術者としての道を究めたい
パターン2 自分は将来経営幹部を目指したい
パターン3 まだ技術者とも経営幹部とも決めきれない

 次にあなたの現状に対する意思ですが,

パターン1 この現状を何とかしたい
パターン2 こんな会社は脱出したい

 以上のマトリクスで,あなたのすべき行動を決める指針ができます。

 まず,技術者としての道を究めたいが,現状も何とかしたい場合です。この場合は,現場の生産性改善,得意な技術分野でのビジネス拡大,技術者育成の具体的なアイデアを経営陣に提案しましょう。

 その場合,何をすべきか,どのタイミング/スケジュールですべきか,効果はどれくらいか,かかるコストはどれくらいか,成功要因は何か,リスクは何かなどの項目を仮説としてまとめて文章または絵にして,「改革仮説」を提案するのがよいでしょう。

 次に,技術者として生きたいのでこんな会社は脱出したい場合です。この場合は,すぐに転職活動を開始すると同時に,自分の技術領域を磨くことに注力しましょう。現場で適切な仕事があれば最適ですが,そうでない場合は自腹を切ってでも教育やセミナーに参加する覚悟が必要です。また,社外に友人をたくさん作ることも大事です。ただし,これから業界では転職が難しい状況が出てくるでしょうから早く決断するか,または逆にじっくりと腰を据えて構えるかの判断が必要です。