Q: 入社以来下流工程ばかり担当してきたので、将来が不安

 入社以来15年、破綻したプロジェクトの手伝いや、誰もやりたがらない案件の尻ぬぐいなど、下流工程ばかり担当してきました。

 ドキュメントを書こうとしても1~10まで書かなければならないところを、8~10しかかけず、よく暗号と言われます。1~7は情報にかかわる者なら当たり前だと思って書かない(書けない)のです。

 この先、このままドキュメントを書かない下流工程ばかり担当していたのでは将来がないと思いますが、上流工程を行える自信がありません。また上司からのパワハラによって精神が病みがちで、上流工程を任せてもらえません。
(40歳、男性、プログラマ)

A: 強みと弱みを知り、戦略的にSE/スーパーPGを目指せ

 あなたの悩みはベテランプログラマ共通の課題ですね。あなたはプログラマから上流工程のSEを目指したいとおっしゃっているわけです。それにしても、これまでかなりタフな現場に配属されたようで、これは会社としてはそれだけ頼りにしている人材といえるでしょう。その前提で問題を整理してみます。

じっくりとキャリアを考える

 ITエンジニアのキャリアを技術軸と管理能力軸とで分類すると、技術力はないが管理能力に秀でている管理職、技術力も管理能力も高いプロジェクトマネジャー(PM)、技術力に秀でていてある程度管理能力もあるシステムエンジニア(SE)、技術力のみに秀でたプログラマ(PG)となります(図1)。

図1●ITエンジニアのキャリア
図1●ITエンジニアのキャリア

 あなたは既にベテランでタフな現場経験を豊富に持っているので、図では、PGの位置にいらっしゃると思われます。あなたの考えでは、(1)現状維持では、技術力は上がるものの、将来性はないと判断していらっしゃるようです。

 一方、欧米では(2)スーパープログラマというベテランプログラマもいます。(1)と(2)の違いは、仕事や業界に関して大局観を持っていることと、プログラマという職種に誇りを持っていることです。

 プログラマも、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)のように大局観を持ってビジネスを開拓すると、大化けすることもあります。シリコンバレーで成功した方々にはスーパープログラマ出身が多数いるのです。もちろん、あなたがお考えのように(3)SEになって上流工程の仕事をすることも立派なキャリアパスです。もう一度、じっくりとあなたがどの方向を目指すべきか考えてみてください。