全日本空輸(ANA) 執行役員 IT推進室長 佐藤 透氏 写真・柳生 貴也 |
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複数のITベンダーと付き合うことは、システム部門にとって負担が大きい。特に新たなベンダーに仕事を任せる際には、既存システムや業務に関する内容を伝える手間が生じる。それでも、システムの品質向上や情報化投資の最適化を図るためには、ベンダー1社にすべてのシステムを任せることはしない方針だ。
いたずらに数を増やそうという気はないが、これまで取引のなかったベンダーとも手を組みたい。今付き合っているベンダーを信頼し仕事を任せてはいるが、注文もあるからだ。
注文の一つはプロジェクト体制の組み方である。ITベンダーには、システム構築プロジェクトの難易度を考えた上でメンバーを配置してほしいのだが、どうもミスマッチを感じることが増えてきた。エンジニアのスキルを見極め、プロジェクトの性格や難易度に応じて最適な人材配置をすることがソリューションプロバイダの役割ではないか。
もう一つは、ITベンダーの成果物の品質に対するこだわりだ。これが希薄になってきていることを心配している。ITベンダーの担当者から、「これ以上はもう無理です」といったセリフを耳にすることが多くなっている。理不尽な要求をするつもりはないが、もう少し仕事に対する誇りを持ってほしいと感じることもしばしばだ。
いつでもドアを開けて待っている
こうしたこともあって、新たに商談に参加してもらいたいITベンダーに声を掛け、RFP(提案依頼書)を出す前から積極的に情報を提供している。当社なりに、良い提案をITベンダーに出してもらおうと努めているつもりだ。
ところがコンペへの参加を見込んでいたITベンダーが提案を辞退したり、形式的な提案でお茶を濁したりといったことを何度か経験した。営業担当者が案件獲得に燃えていても、エンジニアが冷めているといったケースも見受けられる。当社の望むシステム開発を「保証できない」とか「自信が持てない」と打ち明けられることもある。大規模システムは困難が付きまとうとはいえ、もっと積極的に参加してもらいたい。
我々は既存のベンダーとの取引に固執しているわけではない。いつでも門戸を開き、新規参入者を歓迎している。最近、当社のシステムを引き受けようと意欲的に営業活動を展開しているベンダーが数社出てきたが、まだ足りない。ぜひコンペにチャレンジしていただきたい。会社の規模や著名かどうかなどは問わない。
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