ITリーダーは自らの成功のために,そして企業の成功のために何を成すべきだろうか。米ITリサーチ会社ガートナーのアナリスト,Dale Kutnick(デール・カトニック)氏が,今注目の八つの領域それぞれについて解説する。Part5では,システムの日常を支えるIT基盤と運用管理について触れる。「2009年までに,ビジネスの視点からサービスレベルや影響分析を行える基盤を整えよ」とDale氏は提言する。(構成=ITpro)
まずは,ITのオペレーションのプロセス自動化が必要です。今後3年間で取り組むべき重要な課題です。
データセンターではメインフレームのアクティビティは減りました。しかし,データセンターの管理の複雑性が増しています。ソフトやネットワークが高度になっているからです。システムの要件も厳しくなっていることもあり,多くの人員が必要になっています。
現在はデバイス単位で管理していますが,今後はサービスレベルのマネジメントに入っていきます。次の段階では,そしてビジネスレベルのマネジメントに移行します。IT部門は今,ユーザー部門に対してネットワークの混雑度やサーバーの使用率を報告しています。しかし,ユーザー側としてはそんなことはどうでもよく,仕事中ちゃんと使えるかどうかを問題にしているわけです。
IT基盤&運用
2009年までに,IT要素技術の管理に加え,ビジネス視点からサービスレベルや影響分析を行えるようにすべき
ですからIT部門としては,より全体的な形でのオペレーションが必要です。ネットワークだけ,サーバーだけ,あるいはストレージだけに目を向けるのではなく,システム全体として捉えていくことが必要になるわけです。コンポーネントの問題はIT部門で済ませるべきです。したがって,ITリーダーの方々は,ユーザー部門にサービスを提供しているのだというビジネス・サービスの観点を持つ必要があります。
例えば私がeメール・システムにアクセスするとき,重要なのはネットワークが混んでいるか,パスワードが通ったかどうかよりも,eメールをダウンロードできるかどうかがポイントです。それができないと仕事が進まないわけです。そういったところをユーザーは気にします。ITリーダーは,自分のスタッフに対してもそうした視点を持ってもらう必要があります。
これは単なるコストカットの話ではありません。効果や俊敏性の面でも意味があります。
≪11月22日(水曜日)公開の次回は,セキュリティ&リスク管理について解説します≫
■ITリーダーがとるべき八つのアクション 目次
・Part1:ビジネス・インテリジェンスと情報管理
・Part2:エンタープライズ・アーキテクチャ
・Part3:アプリケーション管理
・Part4:ビジネスプロセス改革
・Part5:IT基盤&運用
・Part6:セキュリティ&リスク管理
・Part7:ソーシング&ベンダーリレーションズ
・Part8:プログラム&ポートフォリオ管理