本連載の第13回「XP終焉を迎えるユーザー企業のPC刷新に関する意識と課題」で見たように、2014年4月にはWindows XPのサポート完全終了を迎えるにも関わらず、PC刷新に向けたプランを立てていない企業が少なからず存在する。そこにはハードウエアの耐用年数やOSのサポート期限ギリギリまで使い込むことで、コストを抑えようとするユーザー企業の意図がうかがえる。
しかし、そうしたアプローチでコストを本当に削減できるのだろうか。PCの管理/運用においてはハードウエアだけでなく、セキュリティ対策をはじめとする様々な要素が必要となる。一方、Windows OSはバージョンアップのたびに機能の拡充を続けており、PCの管理/運用におけるカバレッジを広げつつある。つまり、「古いOS&追加のソリューション」という選択より、PCのハードウエアを刷新してOSも新しくした方が管理/運用の負担を軽減できる可能性もある。
そこで今回は、Windows OSの各種機能に対するニーズに着目し、それとOSのバージョンやエディションとの関連性について考えていくことにする。
Windows OSの様々な機能に対するニーズは少なからず存在する
図1は年商500億円未満の企業に対し、「Windows OS機能の利用意向」を尋ねた結果である。昨今のWindows OSが備える代表的な機能については、以下に示す選択肢を設定した。
- 必要ない:
当該の機能は自社には全く必要ないと考えている場合 - 利用中または同等機能を別の手段で実現:
当該の機能を既に利用している、または同等の機能を他の手段で実現している場合 - 利用したい(OSやエディションは変更したくない):
当該の機能を今後利用したいが、OSやエディションは変更したくないという場合 - 利用したい(OSの変更を検討してもよい):
当該の機能を今後利用したいと考えており、そのためにOSを変更しても良いと考えている場合 - 利用したい(エディションの変更を検討してもよい):
当該の機能を今後利用したいと考えており、OSの変更は許容できないがエディションであれば変更しても良いと考えている場合
この質問で取り上げた機能は昨今のWindows OSが備える管理/運用機能のごく一部に過ぎない。だが、これらに対する利用意向を探ることにより、ユーザー企業における個々の機能ニーズとバージョン/エディション選択の間に存在するミスマッチを垣間見ることができる。各種機能に対する詳細な解説はここでは割愛するが、念のため簡単な説明を以下に記述しておく。
- アクションセンター:
メンテナンスなどの運用管理に必要な情報を通知してくれる - WindowsDefender:
ウイルスやスパイウエアの検知や駆除を行える - BitLocker:
ドライブ内のデータを丸ごと暗号化できる - BitLockerToGo:
USBメモリー内のデータを丸ごと暗号化できる - DirectAccess:
Windows Serverとの組み合わせでVPNを実現する - BranchCache:
Windows Serverとの組み合わせで拠点間のデータアクセスを高速化する
上記の各種機能はいくつかのグループに分けて整理することができる。以下、順に見ていくことにしよう。