米連邦通信委員会(FCC)は,有線ブロードバンド・インターネット接続サービス・プロバイダに対して施設の開放を義務付けていた規制の撤廃を決定した。FCCが米国時間8月5日に明らかにしたもの。

 FCCは,今回の決定について,「通信手段としてのインターネット利用が拡大していること,またケーブル,無線,衛星,電源線といったさまざまな接続手法の実現が進んでいることによる市場および技術の変化に対応するため」と説明する。

 「規制撤廃により,有線ブロードバンド・インターネット接続サービス・プロバイダは,消費者の需要に即座に応え,効率的で革新的なサービスを提供し,他のプラットフォームの競合社と活発に競争することができる」(FCC)

 スムーズな移行を図り,現在施設を開放している有線ブロードバンド・インターネット接続サービス・プロバイダは,今後1年間は,ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)への施設提供を継続する。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,他社にDSL回線を廉価で貸している米SBC Communicationsや米Verizon Communicationsなどの地域電話会社(Baby Bell)は今回のFCCの決定を歓迎しており,「これまでは,施設開放の義務が,新製品への投資や新サービスの提供を思いとどまらせていた」と述べた。George Bush大統領は,2007年までにすべての米国民に安価なブロードバンド接続を利用可能にするという目標を掲げているが,「規制撤廃が,目標達成の助けになるだろう」(Verizon社)。しかし消費者グループは,規制撤廃によりDSLサービスの選択肢が減り,価格高騰を招くことを危惧している。

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