米IBMと米CenterPoint Energyが,電力線を介した広帯域接続(BPL:Broadband over Power Line)向け技術の検証で協力すると,米国時間7月11日に発表した。これにともないIBM社は,CenterPoint社がテキサス州ヒューストンに開設したBPL技術センターと,ヒューストン地区で実施中の家庭向けBPL試験サービスにおいて,技術面で協力している。

 BPLは,家庭や企業に引き込まれる電力線を使い,電力供給とともにブロードバンド・サービスを提供する技術。これにより,BPLモデム機能を持つパソコンやネットワーク家電を電源コンセントに差し込むだけで,インターネット接続などが利用できる。DSLやケーブル・テレビを用いる通信サービスと違い,電力線があれば接続可能なので,新たに通信用ケーブルを敷設する必要がない。

 CenterPoint社の試験サービスは,第2世代に相当するBPL技術を使って2005年8月まで実施する。ヒューストン南西地区の最大50世帯にサービスを提供できる。IBM社はプロジェクト管理/サポート,装置の利用状況調査と監視を行っている。

 BPL技術センターでは,家庭向けのほか,電力などを提供するインフラ企業向けBPL技術を検証する。IBM社は同センターに対し,技術インフラを設計/構築/導入したほか,「IBM xSeries」サーバーや同社製パソコン,無線機器,「IBM Kiosk」技術を使った展示/デモンストレーションも担当した。

 両社の活動には,米IDACOMM,米Amperion,米Broadband Energy Networks,米Cisco Systems,米Itron,三菱電機,PCPC社も協力している。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,CenterPoint社は家庭向けBPLサービスを通信速度7Mbps程度で提供可能とみているという。

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