米Intelは,既存の無線LAN(WLAN)規格IEEE802.11a/b/gに対応し,次世代規格IEEE802.11nもカバー可能な性能を持つ単一CMOSチップを試作した。Intel社が6月17日に明らかにしたもの。同社は,京都で開催された(6月14日~16日)シンポジウム2005 Symposium on VLSI Technology(2005 VLSIテクノロジー・シンポジウム)で論文を発表した。

 同チップについて,同社は「すべての回路をCMOS化したことで製造コストを低く抑え,大量生産を可能とした」と説明する。動作電圧は1.4Vと低く,現在入手可能なWLAN用チップに比べ消費電力が少ないという。「CMOS化により,無線通信機能をほかのさまざまなLSIに組み込めるようになる」(Intel社通信回路研究所ディレクタのKrishnamurthy Soumyanath氏)

 同チップには,米連邦通信委員会(FCC)のスペクトル純度/干渉防止規制に準拠した5GHz帯用CMOSパワー・アンプ回路を組み込んだ。受信部と送信部の回路を分離したことで,干渉などの影響排除,歩留まり向上,製造コスト低減といった効果が得られる。その結果,通信速度が100Mbpsを超える見込みのIEEE802.11nにも対応可能な帯域幅を確保できたとする。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,多くのメーカーがIEEE802.11a/b/gという3規格に対応したチップを製品化しているが,実際に使用するにあたって既存製品は周辺LSIをマザーボード上に実装する必要があるという。

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