「セキュリティに対する不安から,消費者の25%は1年前と比べてオンライン購入を減らし,21%はインターネットでの金融機関の利用を見合わせている」。米RSA Securityは,消費者のオンライン利用に関する調査結果を米国時間2月14日に発表した。それによると,ユーザーIDとパスワードを組み合わせた手法はオンラインの情報保護に十分ではないと考える消費者が,全体の53%にのぼった。

 調査は,RSA Security社が委託した米Opinion Researchが,2005年2月3~6日に,米国成人1022人を対象に電話アンケートを実施したもの。個人情報の盗難に関して「1年前よりも情報が手に入るようになった」とする回答者は61%だった。しかし,「1年前と比べて安全になった」と答えたのはわずか18%で,25%は「脆弱性が増した」と感じている。また,回答者の43%は,オンライン販売業者に個人情報を提供することを拒否している。

 オンライン・サービス,デスクトップ・パソコン,ATMなどを利用する際のPINやパスワードの管理を十分に行っていないことが,攻撃を受けやすい要因の1つだ。65%の回答者は使用するパスワードが5つ未満で,15%は1つのパスワードしか使っていない。これらの数値は2004年と比べて変化していない。

 その他の主な調査結果は以下のとおり。

・個人情報盗難について,61%が責任の所在として「個人」を挙げ,52%は「銀行/金融機関」と答えた(複数回答可)

・回答者の約70%は,オンラインで利用している企業が,個人情報の十分な保護を行っているとは考えていない

 RSA Security社世界マーケティング部門バイス・プレジデントのJohn Worrall氏は「企業がオンラインでの信頼をさらに獲得したいのであれば,なすべきことは山ほどある」と語る。「企業が顧客との取引をオンラインで行いたいのであれば,さらに堅牢な情報セキュリティを実現することだ」(同氏)

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