「オンライン小売業者は,詐欺の発生率を低減することに成功する一方で,その取り組みのための人件費など,間接的なコストの増額を強いられている」。電子決済処理サービスを手がける米CyberSourceは,米国のオンライン小売業者333社を対象に実施した,オンライン詐欺に関する調査結果を,米国時間11月18日に発表した。

 小売業者は,2003年の詐欺による損失を総売上高の約1.7%(企業-消費者間電子商取引で16億ドル以上に相当)と見積もっており,2002年の2.9%から減少した。一方で,オンライン詐欺に関する問題が,「深刻」あるいは「非常に深刻」とする小売業者は66%で,2002年の46%から増加した。

 CyberSource社はその理由を,「詐欺の発生率を抑えるためのコストがかさんでいるため」と説明する。社員が注文内容を個別にチェックしている小売業者が2002年は半数だったのに対し,2003年は3分の2にのぼる。注文内容をチェックする割合が,2002年は全注文件数の20%だったのに比べ,2003年は23%。「小売業者は,オンライン詐欺1件特定するために,疑わしい注文を3~4件断っている。疑わしいと思れる注文の中に,正当な注文が含まれている可能性もあり,それも売上高の損失となっている」(CyberSource社)

 また,クレジット・カードによる不渡りが全注文件数の1%を越えた場合,小売業者に高額の罰金を課す新たな規制が設けられたことから,小売業者は以前にも増して詐欺を特定する必要に迫られている。2003年に,クレジット・カード詐欺による損害が,全注文件数の1%を超える小売業者は約60%に達する。

 小売業者は,社員による注文内容のチェックの他にも,さまざまなツールを使って詐欺防止を試みている。クレジット・カード会社が提供する住所認証サービスを利用している小売業者は75%(2002年は71%)。クレジット・カード会社のカード番号認証サービスを利用する小売業者は44%(2002年は34%)。

 「小売業者は,オンライン詐欺を防ぐにはスタッフの増員だけでは不十分だということを認識し始めている。長期的な成功を収めるには,オンライン詐欺を包括的にとらえ,詐欺を速やかに特定できる自動ツールを活用することが重要だ」(CyberSource社マーケティング担当副社長のPerry Dembner氏)

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