電子処理決済とリスク管理ソリューションを手掛ける米CyberSourceは,米国のオンライン小売業者を対象にオンライン詐欺について調査した結果を,米国時間11月15日に発表した。それによると,2004年に米国オンライン小売業者が被る詐欺の損害額は,前年比37%増の26億ドルに達する見通しだ。

 調査は9月17日~10月1日にかけて,米国のオンライン小売業者348社を対象に実施したもの。

 詐欺により発生する損失が総売上高に対して占める割合は1.8%で,昨年の1.7%とほぼ同レベルである。しかし,電子商取引による売上高自体が急速に伸びているため,被害額も上昇しているという。

 被害を最も受けると思われる企業は,年間売上高が50万ドル~500万ドルの中規模企業である。これらの企業は,オンライン売上高で詐欺による損失が占める割合を,前年比0.6ポイント増の2.5%と予測している。

 一方,オンライン売上高が500万ドル~2500万ドルの大企業は,詐欺による損失が占める割合を昨年と同じ1.5%と見積もっている。また,売上高が2500万ドルを超える企業では,詐欺の損失を前年比0.2ポイント減の1.1%と予測する。CyberSource社Market Intelligence担当ディレクタのDoug Schwegman氏は,「大きな売上高を獲得できるまでに成長した企業は,被害を最小限に抑えるためのノウハウを蓄積している」と説明した。

 詐欺を防止するためのコストもかさんでいる。2004年に,詐欺の疑いがあるために断った注文件数の割合は約6%で,昨年の4.6%から増加した。つまり,オンライン詐欺1件を特定するために,詐欺ではない注文4~5件を断っている計算になる。「疑わしい注文の中には正当な注文が含まれている可能性があり,売上高の損失を招いている」(同社)

 しかし,CyberSource社によると,明るい側面もあるという。2004年における詐欺の発生率は1.3%で,2003年の1.4%からわずかに減少した。2004年に,詐欺の発生率が1%を上回るオンライン小売業者は50%で,2003年の58%から減少している。ちなみに,小売業者は2005年のオンライン売上高が前年比39%成長すると予測している。

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