Web関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)は,Webサービスでバイナリ・データを扱うための仕様「XML-binary Optimized Packaging(XOP)」「SOAP Message Transmission Optimization Mechanism(MTOM)」「Resource Representation SOAP Header Block(RRSHB)」を,W3C勧告(Recommendation)として公開した。W3Cが米国時間1月25日に明らかにしたもの。「これらの勧告により,SOAP 1.2メッセージ内や参照先にあるバイナリ・データについて,効率的なパッケージ化や転送が可能となる」(W3C)

 Webサービスにかかわる最大の問題の1つとして,W3Cは大きなバイナリ・ファイルの扱い方を挙げる。「バイナリ・データをXML形式に変換すると巨大なファイルになり,通信帯域を食い尽くし,アプリケーションの速度が大幅に低下する。処理する機器によっては,受け入れがたいほど速度が遅くなる」(W3C)

 同日公開した3つの仕様をSOAP 1.2とともに使用すると,大きなバイナリ・データを転送する標準的な手法が利用可能となり,Webサービスの性能に関する問題を解決できるという。各仕様の概要は以下の通り。

・XOP:
 XML文書とバイナリ・データをそのまま通信パケットにまとめる標準的な手段を提供する。少ないデータ保存領域,狭い通信帯域でも動作可能になる

・MTOM:
 XOPの機能を利用してSOAPメッセージを処理する仕様。通信を最適化する機能を定義している。さらに,各種バイナリ・データ部分の送信にHTTPとXOPの組み合わせや,MIMEエンベロープを使い,通信帯域の削減とエンコード/デコード時間の短縮を図る

・RRSHB:
 SOAPメッセージの受信側で外部リソースのキャッシュを利用可能とする。これにより,受信側はアクセス先として,元ファイルまたは送信データのキャッシュのどちらかを選べる

 「XOPとMTOMにより,SOAPメッセージのシリアライズと転送が効率化する。またRRSHBにより,処理対象のデータが直ちには用意されない場合でもメッセージ処理に必要な全データを送信するので,Webサービスを高速化でき,利便性が向上する」(W3C XML Protocolワーキング・グループ担当責任者のYves Lafon氏)

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