英Sophosが,2004年におけるウイルスやスパムなどの被害状況に関する調査結果を米国時間12月8日に発表した。それによると,Sophos社が年初からこれまでに検出した新種のウイルス/ワームは1万724種で,前年に比べ51.8%増えたという。古いものも含めると,合計9万7535種を検出した。最も大きな被害を及ぼしたのは3月に登場した「Netsky-P」ワームで,全体の22.6%を占めた。

 同社の検出したウイルス/ワームのうち41.6%がNetskyワームの亜種で,5種がワースト10に入った。

 「残念なことに2004年は,ウイルス作者とスパム送信者が組織化された犯罪コミュニティを介して協力し,サイバー犯罪を起こす例が増えた。さらに,ウイルスやスパムをばらまく行為の背景に,金銭的な動機があるようだ」(Sophos社上級セキュリティ・アナリストのGregg Mastoras氏)

■2004年のウイルス/ワーム被害ワースト10
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順位     名称              検出率         検出時期
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1        W32/Netsky-P      22.6%         2004年3月
2        W32/Zafi-B        18.8%         2004年6月
3        W32/Sasser        14.2%         2004年5月
4        W32/Netsky-B       7.4%         2004年2月
5        W32/Netsky-D       6.1%         2004年3月
6        W32/Netsky-Z       3.7%         2004年4月
7        W32/MyDoom-A       2.4%         2004年1月
8        W32/Sober-I        1.9%         2004年11月
9        W32/Netsky-C       1.8%         2004年5月
10       W32/Bagle-AA       1.6%         2004年4月

-       その他             19.5%         -
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出典:Sophos社

 スパムの送信元については,北米が全体の48%弱で最も多かった。「特に米国は,スパム対策(CAN-SPAM)法を施行し,8月に米司法省が150人以上のスパム犯容疑者を逮捕したにもかかわらず,スパム全体の42.1%を占めた。これは,2番目に多い韓国の3倍以上だ」(同社)

 また同社によると,「現在スパム送信者は,2日に1回のペースで送信元のドメインを変更している」という。「3カ月前は,1週間に1回のペースだった」(同社)

■2004年のスパム送信元ワースト10
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順位     国                   検出率
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1        米国                 42.1%
2        韓国                 13.4%
3        中国(香港を含む)    8.4%
4        カナダ                5.7%
5        ブラジル              3.3%
6        日本                  2.6%
7        フランス              1.4%
8        スペイン              1.2%
9        英国                  1.1%
10       ドイツ                1.0%

-        その他               19.7%
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出典:Sophos社

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