米Postiniは,2004年9月のスパム/ウイルス被害状況を米国時間9月29日に発表した。スパム対策法の施行やその他の試みにも関わらず,いまだにスパムによる被害は大きいという。Postini社が9月に処理した電子メールのうち,スパム・メールが占める割合は約75%だった。8月の76%からは僅かに減少したが,いまだにその割合は高い。

 スパムが増加する一方で,性的な要素を含む電子メールは大幅に減少している。1月の調査では,性的要素を含む電子メールは,スパム全体の3.2%だったが,9月の結果では0.8%に落ちた。

 9月には,インターネットの標準化機関Internet Engineering Task Force(IETF)が,米Microsoftが提出していたスパム対策仕様「Sender ID」を標準規格として採用しないという決定を下した。Postini社は,送信者を認証する同仕様がスパム,ウイルス,企業の電子メール・システムに影響を与えるDoS攻撃を遮断するためには,あまり役に立たないと指摘していた。

 「電子メール・アドレスの真偽が裏付けられてもスパムは遮断されない。本当の課題は,送信者の真偽の認証ではなく,悪質な振る舞いを見せているIPアドレスを確認して遮断することにある」(Postini社製品マーケティング部門ディレクタのAndrew Lochart氏)

 同月,同社は56億件を超える電子メールを処理しており,遮断したウイルス感染メールは,7900万件にのぼった。2004年9月に同社が遮断したウイルスのトップ10は以下の通り。

■2004年9月のウイルス被害状況

ウイルス名               検出数
1.  netsky                  30,426,256
2.  zerolin                 16,656,583
3.  mime                    12,242,651
4.  zafi                     8,283,326
5.  bagle                    3,554,229
6.  mydoom                   2,570,683
7.  bankfraud                1,619,462
8.  lovgate                  1,612,127
9.  klez                       491,772
10. dumaru                     372,937
出典:Postini社

 同社は,9月にウイルスと企業の電子メール・ディレクトリを不正に収集するDHA(Directory Harvest Attacks)と呼ばれる攻撃を1400万件遮断した。また,40億件の無効な送信の試みの遮断にも成功している。

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