米PeopleSoftの敵対的買収を図る米Oracleが公開買付価格を1株当たり24ドルに変更したことを受け,PeopleSoft社役員会は,株主に対してOracle社の公開買付に応じないよう勧告することを満場一致で可決した。PeopleSoft社が米国時間11月10日に明らかにしたもの。

 PeopleSoft社役員会は,「財務および法務顧問とともに,Oracle社の提案を慎重に検討したが,提示額は不十分で,PeopleSoft社の真の価値を反映していないと判断した」と説明した。

 Oracle社のPeopleSoft社買収計画については,「独占禁止法に抵触する」として米司法省がOracle社を提訴していたが,米連邦地裁は「原告側(司法省)は,Oracle社とPeopleSoft社の合併が市場の競争を著しく損なうという主張を証明していない」と判断し,米司法省の主張を退けた(関連記事)。続いて,欧州委員会(EC)もOracle社のPeopleSoft社買収計画を認める判決を10月26日に下している(関連記事)。

 ECの承認を得たOracle社は,「最善にして最終の提案」(Oracle社)として11月1日に公開買付の条件を変更。買付価格をこれまでの1株あたり21ドルから同24ドル(買収総額は約88億ドル)に引き上げ,期限を11月19日24時に延長した。

 今回,PeopleSoft社の拒否勧告を知ったOracle社は,「決定はPeopleSoft社株主の手にゆだねられた」とのコメントを同日発表している。Oracle社CEOのLarry Ellison氏は,「当社役員会は熟慮検討したうえで,1株当たり24ドルが最大限応じられる金額であるとの結論に達したのだ。それ以上の金額になるならば,別の企業を買収するか,当社株式の買い戻しを行った方が,資産を有効利用できる」と述べた。「当社は1年半ものあいだ,この件(買収計画)に取り組んできた。もう終結を向かえる時期だ。11月19日に,PeopleSoft社株主の意志を尊重する」(同氏)

 Oracle社は,11月19日24時までに過半数のPeopleSoft社株式を取得できなかった場合は,買収計画を撤回する意向である。

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[発表資料(PeopleSoft社のプレス・リリース)]
[発表資料(Oracle社のプレス・リリース)]