米Oracleは,同社が進めている米PeopleSoftの敵対的買収計画について,公開買付の条件変更を米国時間11月1日に発表した。買付金額を1株当たり21ドルから同24ドルに引き上げ,期限を米国東部時間2004年11月5日24時から11月19日24時に延長する。

 Oracle社は公開買付金額の引き上げについて,「当社の最善かつ最終の提示額」としている。「過去52週間における終値の最高値を上回り,当社が公開買付の開始を発表した前日の終値と比べ約60%高い」(Oracle社)

 Oracle社はPeopleSoft社の株式公開買付を2003年6月に開始した。当時の買付金額は1株当たり16ドル。同社はたびたび買付期限の延期と価格引き上げを行い,2004年2月には1株あたり26ドルの買付金額を提示した。しかし2004年5月に,期限の延期発表と同時に,「市場状況とPeopleSoft社の市場評価額の変化を反映し」(Oracle社),買付価格を1株当たり21ドルに引き下げた。その後,同額提示のまま,延期を繰り返していた。

 PeopleSoft社取締役会は,Oracle社が条件を変更するたびにこれを退けており,1株当たり21ドルの提案も拒否することを全会一致で決定。「提示額は不適切であり,PeopleSoft社の真の価値を反映していない。米Citigroup Global Marketsと米Goldman, Sachsからも,1株当たり21ドルは不十分だとの助言を受けている」(PeopleSoft社)と述べていた。

 しかし,Oracle社のPeopleSoft社買収が独占禁止法に抵触するとしてOracle社を訴えていた米司法省が2004年9月に敗訴。米連邦地裁は「原告側(司法省)は,Oracle社とPeopleSoft社の合併が市場の競争を著しく損なうという主張を証明していない」と判断した。米司法省はこれに対して控訴しないことを10月1日に決定している。続いて,欧州委員会(EC)もOracle社のPeopleSoft社買収計画を認める判決を10月26日に下した(関連記事)。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,今回の買付価格引き上げにより,買収総額は88億ドルとなる。

 なお,PeopleSoft社は買収防御策として,買収総額をつりあげるために低価格で株式を放出する「ポイズン・ピル」を実行している。Oracle社は,「期限までに当社が過半数のPeopleSoft社株式を取得し,その時点でPeopleSoft社取締役会がポイズン・ピルを解除していなければ,デラウエア州衡平法裁判所にしかるべき措置を申し立てる」と述べた。しかし期限までに過半数の株式を取得できなかった場合は,「買収計画を撤回する」(Oracle社)。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]