米Infonetics Research社は,北米のケーブルVoIP装置市場に関する調査結果を米国時間10月11日に発表した。それによると,同市場は2004~2007年に成長傾向をたどる。特に2005~2006年は,CATV統括運営会社(MSO)の大半がサービス・エリア全体にVoIPを導入し,市場浸透を目指して積極的な販売活動を行うことから,最大規模の成長をみせるという。

 Infonetics Research社アナリストのKevin Mitchell氏は「北米のVoIP装置市場において,MSOは地域通信事業者(ILEC)と競争的地域電話事業者(CLEC)に次ぐ,第3のけん引役となる」と述べている。「MSOは現在,三つのサービス(音声/ビデオ/データ)を実現し,1人当たりの月間平均収入(ARPU)を引き上げるための手段として,次世代の音声/IPマルチメディアを検討している」(同氏)

 ベル系地域通信事業者(RBOC)とMSOは,住宅向けの音声/ビデオ/データのサービスをめぐって競争しており,世帯あたりの全通信費を獲得しようとしている。「両者は引き続き市場での地歩を固め,より高速なブロードバンドやVoIPなどに必要なインフラに投資を行うだろう」(Infonetics Research社)

 その他の主な調査結果は以下のとおり。

・MSOによる,2003年のVoIP装置投資額は6400万ドルで,その大半は小規模の試験運用向け

・VoIP加入者は2004年末に30万~35万人となる見込み(MSO以外のVoIPサービス加入者を除く)

・2003年のVoIP装置市場は,顧客宅内装置(CPE)/IP電話装置(EMTA),メディア・ゲートウエイ,ソフトスイッチが96%を占めていたが,今後はアプリケーション・サーバーやメディア・サーバーなどのシェアが拡大する

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