米VeriSignが,ドメイン名やIPアドレスの管理を行っている非営利組織のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)を独占禁止法違反で訴えていた裁判で,カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所はVeriSign社の主張を退けた。ICANNが米国時間8月27日に明らかにしたもの。8月23日に聴聞会を行い,8月26日に判断を下したという。

 VeriSign社は,「ICANNが契約上の権限を超え,不当に同社の事業を規制し,同社との契約および協定に違反した」として,2004年2月に提訴していた。

 VeriSign社によれば,同社はICANNとの協力を図り,両者が同意に至った枠組みのもとで新たなサービスに取り組んでいた。期限切れとなった「.com」「.net」のドメイン管理を一手に請け負うサービス「Wait Listing Service」などがこれに含まれる。しかし,「過去数年にわたってICANNは明白かつ一貫した協力を怠ってきた。技術的共同体であるべき契約および協定から逸脱することにより,ICANNはドメイン名システムの取り締まり機関になることを不当に試み,インターネット・ユーザーの利益とインターネットの成長につながる新たなサービスをもみ消した」(VeriSign社)と主張。

 この訴えは5月18日に一度却下されており,VeriSign社は修正訴状を提出していた。

 ちなみにVeriSign社は昨年,ユーザーが実在しないURLを入力した場合,自動的に同社検索ページに誘導(リダイレクト)するナビゲーション・サービス「Site Finder」を実施したが,スパム遮断機能などに影響を与えるとしてネットワーク運営者の反発を浴び,ICANNの停止要請を受けて,同サービスを閉鎖している。

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