ドメイン名やIPアドレスの管理を行っている非営利組織のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)による米VeriSignの「Wait Listing Service(WLS)」サービスへの最終承認を阻止しようと,米Dotsterなどドメイン名のレジストラ(登録業者)がICANNを提訴していた問題で,米連邦裁判所は原告側の要求を棄却する判決を下した。ICANNが米国時間11月13日に明らかにしたもの。

 VeriSign社が提案しているWLSは,期限切れとなった「.com」「.net」のドメイン管理を一手に請け負うサービスで,昨年,ICANNの仮承認を受けている。原告側は,WLSが“反競争的”であり,「ICANNの仮承認はレジストラ認定契約(RAA:registrar accreditation agreement)に違反している」として,裁判所に仮差し止め命令を求めていた。

 ICANNによれば,裁判所は次のように判決の理由を述べている。「すべてのレジストラは登録待機サービスを提供することができる。付加価値サービス,低料金,顧客サービスなどを組み合わせて,それぞれの手法で競争することが可能だ。現在,約50のレジストラが各自の登録待機サービスを提供しているが,約170におよぶすべてのレジストラが同サービスを始めれば,インターネット・ユーザーははるかに多数のドメイン名を利用することができる。従って,WLSの導入はレジストリ(管理業者)とレジストラ,そして大衆に恩恵をもたらす可能性がある」

 また裁判所は,「ICANNはドメイン名の割り当てに関する契約をいかなるサード・パーティと結ぶ場合でも,レジストラの合意を得るべきだ」とする原告側の主張に対して,「もしその要求を認めれば,レジストラは自身の経営に影響を与えるあらゆる契約を否認する権力を持つようになる」と述べた。

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