米VeriSignは,同社のWebナビゲーション・サービス「Site Finder」に関するインターネット関連団体IAB(Internet Architecture Board)の分析に対して,反論のコメントを米国時間10月7日,発表した。

 Site Finderは,インターネット・ユーザーがブラウザに存在しないドメイン名を入力したり,間違ったURLを入力した場合,ユーザーをVeriSign社の検索ページにリダイレクトする。9月15日に開始したが,スパム遮断機能などに影響を与えるとの懸念から,ドメイン名やIPアドレスの管理を行っている非営利組織のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)より,9月19日に停止要請を受けた。

 これに対しVeriSign社は,ICANNの停止要請に応じず,技術委員会を設立して同サービスについて取り沙汰されている問題を検討することを,9月23日に発表した。しかし10月3日には,ICANNの要請に従い,太平洋時間10月4日午後6時に同サービスを停止する決定を明らかにした。

 IABは9月23日に,DNSワイルドカード機能の利用について「ゾーンの運営者がリスクを明確に理解しない限りゾーン内で利用すべきではない。また,そのゾーン下部の団体への通知と承認を得ることなく利用すべきではない」とのコメントを発表。そのほか,Site Finderの問題点をいくつか指摘した。今回,VeriSign社はIABの指摘に対して,主に以下のように反論している。

・「.com」「.net」ゾーンにおけるワイルドカードの実装については,社内外における評価とテストを実施し,他社の専門家の協力もあおいだ。サービス開始前のテストで,インターネットの安定性に影響を与えないことは確認済みである。

・IABは「Site FinderがMTA(Mail Transfer Agent)への電子メール・トラフィックを増大させた」としているが,そのような証拠はない。

・IABは,「Site Finderがある種のスパム・フィルタの機能を低下させる」としているが,主要サービス・プロバイダおよびソフトウエア・ベンダーを調査したところ,IABが問題とする種類のフィルタは広範に使用されているメカニズムではないことが分かった。また,そのメカニズムによるスパム・メール検出率はわずか3%である。

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