米Nucleus Researchは米国時間7月1日に,スパム・メールが企業に与える影響に関して調査した結果を発表した。それによると,米国企業がスパム・メールによって被る損害額は,従業員1人当たり874ドルにのぼるという。

 調査は,米国企業76社の従業員117人と,電子メールや企業アプリケーション担当のIT管理者28人にインタビューを実施したもの。主な調査結果は以下の通り。

・従業員1人が1年間で受信するスパム・メールは平均約3500通

・スパム・メールの影響で,2003年に従業員1人当たりの生産性が平均1.4%落ちる

・全社的にスパム・フィルタを導入しても,失った生産性の26%しか取り戻せない

・従業員690人に対し,スパム・メールと関連する問題のみに従事するフルタイム勤務のITスタッフが1人必要

 スパム・メールによって損害を被り,スパム・フィルタが限られた効果しかあげないため,大企業はスパム業者に対する法的措置などの対抗策を検討するようになる。「スパム・メールは従業員の生産性をゆっくりとむしばみ,企業の損失はどんどん膨らんでいく。企業はスパム・メールがROIに大きな影響を与えることを認識し,スパム・フィルタを導入するほか,場合によっては訴訟を起こすなど,対策をたてる必要がある。今のままでは,いずれ多数の企業が,スパム・メールによって大幅に生産性を損なうことになるだろう」(Nucleus Research社リサーチ部門バイス・プレジデントのRebecca Wettemann氏)

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