米BayStar Capital IIが米SCO Groupに対し,BayStar社が投資したSCO社株式の償還を要請していた問題で,SCO社は「買い戻し手続きが完了した」とする認識を,米国時間7月23日に明らかにした。米証券取引委員会(SEC)が7月21日に,SCO社の普通株発行の登録申請書(Registration Statement)を承認したためで,これは「BayStar社の株式買い戻し手続きを完了する条件のみを満たす」(SCO社)という。

 株式買い戻しについては,両社が5月31日に合意に達し,6月1日に発表している。BayStar社が,4万株のSeries A-1転換優先株と引き替えに,現金1300万ドルとSCO社の普通株210万5263株を受け取るというもの。SCO社によれば,同社はすでに普通株の株券と現金を支払う準備があることを,BayStar社に通知済みだという。

しかしBayStar社は手続きの完了を認めず,SCO社のUNIX知的所有権から積極的にライセンス料を徴収する「SCOsource」戦略の最近の展開は,SCO社がBayStar社に事前に提示していた契約内容と一致してないと主張。SCO社は「これを慎重に受け止め,詳細に確認した結果,BayStar社が指摘するような矛盾はない」と反論した。

 またBayStar社は,SCO社がSCOsource事業に関する機密情報をBayStar社に提供しない限り,手続きの完了を認めないと述べている。しかしSCO社は,情報の機密性とSCOsourceライセンスの協議を交わした企業のプライバシを保護するため,また不確実な憶測を避けるため,BayStar社の求めに応じない態度を示している。

 ちなみにカナダのRoyal Bank of Canadaは,SCO社からの出資撤退を5月に明らかにしている。(関連記事

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