公正取引委員会が米Microsoftに対して独占禁止法違反(不公正な取引方法)で排除勧告したことについて,Microsoft社は米国時間7月13日に声明を発表した。

 公正取引委員会によると,Microsoft社は「Windows OS」に関して日本のパソコン・メーカーと使用許諾契約を結ぶ際,メーカー側が同社に対し特許侵害の訴訟を起こさないことなどを誓約する「特許非係争条項(NAP:non-assertion of patents)」を盛り込んでいた。公正取引委員会は,Microsoft社および同社子会社と日本のパソコン・メーカー間で締結した現行および過去の契約書から,NAPに関する規定を削除することなどを求めている(公正取引委員会のプレス・リリース)。

 Microsoft社は,「NAPはパソコン・メーカーとの契約に10年以上前から含まれており,知的財産の懸念が発生した場合,Windowsの新バージョンを出荷する前に問題を提示するようパソコン・メーカーに奨励するものだ。知的財産権を尊重しつつ,係争を回避することを目的としている」と説明している。

 Microsoft社は昨年,IT市場が徐々に変化しつつあることから,新たな知的財産ポリシーへの移行を決定した。今年2月21日には,パソコン・メーカーとの新たな契約からNAPを削除することを発表したが,「過去に締結した契約に含まれるNAPは限定的な範囲で効力を持続する」(Microsoft社)としている。

 「当社は公正取引委員会の役割を尊重し,2月26日に始まった立ち入り調査にも全面的に協力してきた。しかし,今回公正取引委員会が下した結論については,謹んで異議を唱える。問題とされている条項は,知的財産権の保護と,知的財産に関する係争の回避によってIT業界が発展するための環境を提供する必要性との均衡を保つことに役立っている。こうした安定が,業界および消費者に利益をもたらし,知的財産権の所有者には正当な権利の執行を可能にしてきた」(Microsoft社)

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