米Nucleus Researchは米国時間6月7日に,米国におけるスパム・メールの被害に関する調査結果を発表した。米国企業がスパム・メールによって被る損害額は,従業員1人当たりに換算すると,年間1934ドルにのぼる。この数字は,1年前と比べて倍増しているという。

 調査は,82社のFortune 500企業の従業員と,電子メールなどの企業アプリケーション管理を担当するIT管理者にインタビューを実施したもの。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・従業員1人が受信するスパム・メールは年間約7500通(昨年の調査では3500通)

・従業員1人当たりの生産性の喪失は,年間3.1%(同1.4%)

・スパム・フィルタを導入している企業におけるスパム防御率は平均20%(同26%)

 Nucleus社調査担当バイス・プレジデントのRebecca Wettemann氏は,「スパム・メールはますます手に負えなくなっており,企業の関連費用は上昇する一方だ。法規制は効果が無く,毎日送りつけられるスパム・メールはいっこうに減少しない」と述べる。「フィルタリング技術はスパム・メール削減に役立つが,指数関数的に増加するスパム・メールの勢いについていけない状態だ。企業は,より厳しい法規成立を訴え,米Microsoftや米Yahoo!などのスパム業者摘発に協力するべきだ」(同氏)

 ちなみに米メディアの報道(InformationWeek)によると,従業員はスパム・メールによる損害額を1人当たり年間25~1000ドル(平均220ドル)と推測しており,実際よりはるかに低く見積もっている。

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