米Time Warner傘下のAmerica Online(AOL),米EarthLink,米Microsoft,米Yahoo!は,米国の大手スパム業者をはじめとする数百人を相手取り,2003年1月から施行されたスパム対策(CAN-SPAM)法に違反したとして6件の訴訟を起こした。4社が米国時間3月10日に,共同記者会見を行ったもの。
各社は,3月9日にそれぞれカリフォルニア州,ジョージア州,バージニア州,ワシントン州の連邦地方裁判所に訴訟の申し立てを行い,被告が4社のユーザーに対して,合計数億件にのぼるスパム・メールを送信したと主張。6件の訴訟で追求している共通の内容は主に以下の通り。
・一般的な迷惑メールのほか,一攫千金商法,処方薬,ポルノ,住宅ローン,学位,CATV解読機などに勧誘する件名を偽った電子メール
・送信元を隠すためにサード・パーティのコンピュータを使用してスパム・メールを送信するオープン・プロキシの使用
・差出人(Fromアドレス)を偽るスプーフィング
・物理アドレスの隠ぺい
・受信拒否を電子的に手続きする手段の欠如
「大手スパム業者にとって,今日は記念すべき日だ。今日からずっと『CAN-SPAM記念日』を忘れないだろう。米国議会はスパム業者を厳重に処罰するための道具を我々に与えてくれた。そして,我々は一時たりとも無駄にせず行動した」(AOL社執行バイス・プレジデント兼法務顧問のRandall Boe氏)
「我々は,米国の大手ISPが共通の目的のもとに一致団結していることをスパム業者に知らしめる。我々の目的は,違法な迷惑メールの氾濫を止め,ユーザーのインターネット体験を向上することだ」(EarthLink社バイス・プレジデント兼チーフ・プライバシ・オフィサのLes Seagraves氏)
「スパム撲滅に向けた業界の同盟や連邦法にもとづいたスパム業者の提訴といった業界全体の取り組みがもたらす成果を,我々は目撃することになる」(Microsoft社次席法務顧問のNancy Anderson氏)
「我々は,迷惑メールを受け取って『もう,うんざりだ』と言っている数百万の人々を代表して今回の行動を起こした」(Yahoo!社上級バイス・プレジデント兼法務顧問のMike Callahan氏)
なお4社は2003年4月に,スパム撲滅を目的とした提携関係を結んでいる。
ちなみに,今回の4社による提訴に先がけて,米Hypertouchが米BlueStream Mediaと米BVWebTiesを相手取り,「初のCAN-SPAM法違反訴訟」(Hypertouch社)を起こしている。
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