英Clearswiftが米国時間5月4日に,企業のスパム・メール対策に関する調査結果を発表した。それによると,世界各地の企業の72%以上が何らかのスパム・メール対策を導入しているが,55%が「こうした対策は力不足」と考えているという。

 Clearswift社は,スパム・メール対策の効果を妨げる要因として,重大な知識不足を指摘する。回答企業の36%は,アンチ・スパム・ツールを導入して以来1度も調整や設定変更をしたことがなかった。アンチ・スパム・ツールの設定を調整しないと,進化を続けるスパム・メールに対抗できない。「定期的にスパム・メール情報の更新を行わなければ,どんなアンチ・スパム・ソリューションであっても役に立たない」(同社)

 63%の企業は電子メール用のフィルタリング製品だけを導入し,Webフィルタリング・ソフトウエアを使っていない。スパム送信者は,SMTPゲートウエイ上のフィルタリングを回避するためにHTMLスパムを送ってくるが,「これを阻止するにはWebフィルタリング・ソフトウエアが大きな役割を果たす」(同社)。

 また,アンチ・スパム・ツールの設定が不十分だと,正当な電子メールがスパム・メールと誤認識される割合も高くなるという。誤認識率5~25%の企業は14%強にのぼった。3%の企業では,誤認識率が25%を超えた。

 企業は,スパム・メール対策への取り組みに消極的で,Cauce,Jam Spam,Spamhausといったアンチ・スパム組織に加入している割合は14%のみだった。スパム・メール送信者に悪用されるセキュリティ・ホールについても関心が低く,企業の24%は,自社の電子メール・サーバーをスパム・メール転送のオープン・リレーとして使われた経験がある。34%は使われたかどうかも知らなかった。また30%は,「無線ネットワークがスパム・メール送信に悪用されても気づかない状態にある」という。

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