英Arjuna Technologies,英Enigmatec,日立製作所,アイルランドIONA Technologies,フィンランドNokia,米Oracle,米SeeBeyond Technology,米Sonic Software,米Sun Microsystemsが,Webサービス向けメッセージ交換仕様「WS-MessageDelivery」に対応する方針を米国時間5月25日に表明した。また同日,ユーザー認証技術の標準化団体Liberty Alliance Projectが,シングル・サインオン関連のWebサービス仕様「Liberty Identity Web Services Framework(ID-WSF)」に関する計画と,導入状況などについて明らかにした。

●WS-MessageDelivery

 WS-MessageDeliveryは,複数のWebサービスが共通のメッセージ交換パターンに従って動作する状況下で,Webサービス・エンドポイントの参照手法を標準化する仕様。先ごろWWW関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)に提出され,標準仕様化を目指している。WSDLで記述されるパターンの簡素化が狙いで,同仕様に対応すると,Webサービスで複雑なアプリケーションを容易に構築できるようになるという。

 WS-MessageDeliveryで実現が容易になるメッセージ交換パターンの例として,各社はコールバック・パターンを挙げる。このパターンに従うと,あるサービスが別のサービスにリクエストを送付した後,何も処理をしないで応答を待つのではなく,リクエストに対する処理が終わったとの通知が来るまでほかの処理を進められるようになる。

 WS-MessageDeliveryを使わないでコールバック・サービスを実現しようとすると,特別なメッセージ交換のルールを決める必要があり,「Webサービスの導入範囲に制限が生じたり,異なるベンダー間で相互接続性の確保が難しくなったりする」(各社)。

●ID-WSF

 Liberty Alliance Projectは同日,2004年第3四半期にID-WSFをベースとする技術仕様書を公開し,技術的な詳細の理解を支援すると発表した。

 ID-WSFは,シングル・サインオン・アーキテクチャ「Liberty Alliance's Federated Network Identity Architecture」に対応するフェーズ2仕様の構成要素の1つ。認証機能付きWebサービスを展開するための,オープン標準仕様ベースの手法を示す仕様。パーミッション・ベースの属性共有,認証ディレクトリ・サービス,相互作用サービス,セキュリティ・プロファイル,対応クライアントの拡張といった内容を扱っている。最終版は2004年11月にLiberty Allianceが公開した。

 ID-WSFを使用すると,認証機能を備えるWebサービスの連携が可能となり,企業はパートナ企業や顧客のアプリケーションと自社のアプリケーションを接続できるようになる。既に米America Online(AOL),Nokia社,英Vodafone Groupなど約30社が,対応製品やサービスの提供や計画を発表しているという。

 なおLiberty Allianceは,7月21日に開催されるBurton Catalyst Conferenceで,同仕様について相互接続デモンストレーションを行う。デモンストレーションでは,ID-WSF関係のシナリオ3種と,フェデレーション対応ユーザー管理仕様「Identity Federation Framework(ID-FF)」関連のシナリオ1種を用意する。

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[発表資料(WS-MessageDelivery)]
[発表資料(ID-WSF)]