無線LAN関連の業界団体WLAN Smart Card Consortiumは,新しい無線LAN用認証仕様「EAP-SIM Handler V1.0」を米国時間3月31日に発表した。同団体が2003年9月に公開した無線LAN向けSIMカード認証仕様「WLAN-SIM V1.0」と連携させ,WLAN-SIMカードの利用拡大を図る。

 EAP-SIM HandlerのベースとなるWLAN-SIMは,無線LAN使用時のユーザー認証にSubscriber Identification Module(SIM)技術を適用するためのスマート・カード仕様。SIMはGSM携帯電話機で利用されるユーザー認証技術。SIM対応カードにユーザー情報を格納しておき,携帯電話機に同カードを差し込んで使う。WLAN-SIMは同技術を無線LANの認証に利用するための仕様で,スマート・カードと機器間のインタフェースを定義している。業界標準のIEEE802.1x規格とVPN用認証プロトコルExtensible Authentication Protocol(EAP)に対応し,無線LAN向けセキュリティ方式Wi-Fi Protected Access(WPA)を補完する形を採る。

 通信事業者がUSB対応アダプタに挿入可能なSIMカードを発行すれば,携帯電話機と同じ方法で認証が行える。その結果,「ユーザーはよく変更される面倒な認証手順を覚える必要がなくなり,USBキーを持ち歩くだけで済む」(同団体)という。

 EAP-SIM Handlerは,このWLAN-SIM仕様をノート・パソコンや携帯電話機など複数のプラットフォームに適用するための仕様である。「両仕様により,通信事業者はSIM技術をWi-Fi無線LANアクセス・サービスの認証に利用できるようになる」(同団体)

 「この仕様セットに対応すれば,Wi-Fi無線LANアクセス・サービス業者は無線LAN認証にSIM技術を導入する際,既存のローミング,セキュリティ,課金,バック・オフィス用のインフラを活用できる」(米Texas Instruments無線ネットワーク事業部門事業開発担当ディレクタBill Carney氏)

 同団体は,EAP-SIM Handler V1.0とWLAN-SIM V1.0をWebサイトで公開している。

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